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日本流通新聞7月1日付紙面から

社説:規制緩和の見直しが必要だ

 政府は25日、中長期的な物流施策や物流行政の指針を示す、新たな「総合物流施策大綱」(2013‐2017)を閣議決定した。7月中をメドに、関係省庁の局長級による推進会議を開き、政策展開のプログラムや数値目標の「工程表」策定する方針だ。
 「今後の物流施策の方向性」については、「強い経済の再生と成長を支える」側面として「物流システムの構築」を位置づけ、「産業活動」と「国民生活」を支えるため「効率的な物流の実現」への取り組みを示した。
 ここでは「物流システムのアジア物流圏への展開」、「物流インフラ等の整備、有効活用」による国際競争力の強化、荷主と物流事業者のパートナーシップ強化や運送契約の書面化など「関係者の連携による物流効率化」を掲げている。
 キャッチフレーズの「国内外でムリ・ムダ・ムラのない全体最適な物流の実現」は、荷主と物流事業者の連携を意識したものだと思う。荷主や物流事業者等の関係者が適切な役割分担のもと、物流事業者だけ「しわ寄せ」を受けることがあってはならないだろう。
 大綱は、それを意識して「荷主・物流事業者の連携による物流の効率化と事業の構造改善」を書き込んでいる。荷主間、荷主と物流事業者間の連携強化、商慣行の改善などを総合的に実施することにより、物流システム全体の効率化を推進するとともに、規制見直しを含めた物流事業の構造改善を図る、というものだ。
 「荷主・物流事業者の連携」は適正な在庫管理を伴わない受発注や短い納期、梱包規格の不統一などの物流現場レベルの効率低下を招く事象の改善に向けたメーカー・卸売・小売と物流事業者の協議を促進する。
 「商慣行」の改善では、運送契約の書面化を通じた業務範囲、責任、運送条件、待機料金など、これまであいまいだった責任やコストを明確化し是正を行う。
 さらに「『貨物自動車(トラック)運送事業法』上の貨物の運送を委託する者(荷主等)」に対する勧告制度の運用強化、独占禁止法上の物流特殊指定や下請法に関する取り組みなど、物流にかかわる非効率を招く慣行の是正に向けた行政による取り組みを推進する。
 ただ、適正運賃を収受できないトラック運送事業者が、書面化によって優越的地位の濫用問題や商慣行の是正ができるとは考えにくい。
 規制緩和による厳しい競争で格差が拡大するトラック運送業界には、大綱が掲げる「産業活動」と「国民生活」を支えるため、法改正によって、抜本的な規制見直しが必要だ。

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