社説:ターミナル混雑問題、早期解決を
海上コンテナターミナルの混雑問題が深刻化している。東京では、長いときには10時間も並ぶことがあるという。海上コンテナ輸送事業者は輸送効率が悪化し、運転者の長時間拘束、不規則労働により定着率が悪化しているという。このため、改善基準告示を守る事業者が撤退や縮小を余儀なくされ、一方で悪質な事業者の参入による事故が多発しているという。
全日本トラック協会海上コンテナ部会は7月24日、国土交通省の国際コンテナ戦略港湾政策推進委員会のヒアリングに応じ、こうした実態を指摘したうえで、ターミナル混雑解消のための措置を早急にとるよう要望した。
関東トラック協会の海上コンテナ部会は、7月29日に開いた総会で、一向に解消されない京浜港の渋滞問題解決に向け、具体的な行動をとることも辞さない構えを示した。
荒木俊夫部会長は「声を上げるだけでなく具体的な活動を行うべき」と述べ、運転者の拘束時間遵守運動を起こすことを提案した。1日の拘束時間を原則13時間と定めた改善基準告示の徹底を求めたもので、各県ト協の海上コンテナ部会に持ち帰って検討し、後日意見集約など行い今年度事業に反映していくという。
コンテナターミナルの混雑問題を巡っては、新たな物流施策大綱に向けて議論した有識者委員会でも、トラック業界代表として参画した樋口恵一川崎陸送社長が取り上げ、「ひどいときはバスが運行できないほどの行列になる。6時間待ちは当たり前で、ひどいときは10時間待ちだ。人がやる仕事ではない」と指摘し、待ち時間を短縮してコンテナ輸送車両の回転率をあげないと、日本の競争力は上がらない、と主張した。
東ト協海コン部会が実施した東京港各ターミナルでの車両待機時間調査結果によると、昨年11月末に輸入コンテナの搬出入に合計5時間超かかった日や、12月月初にやはり輸入コンテナの搬出入で計4時間45分かかった日があった。
トラックを待機させるのはタダではない。人が乗っているのだ。海コン輸送事業者らが実力行使に訴えようとするほど、この問題は深刻化している。関係者が英知をしぼって早期に解決策を見出すべきだ。
新しい物流大綱では、今後の物流施策の方向性として「強い経済の再生と成長を支える物流システムの構築〜国内外でムリ・ムダ・ムラのない全体最適な物流の実現〜」をかかげている。無理や無駄をトラックにだけしわ寄せしていては、経済を支えられなくなってしまうではないか。