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日本流通新聞8月12日付紙面から

社説:景況横ばい、人手不足も

 全日本トラック協会が四半期ごとに行っている景況感調査で、企業規模によって景況感に格差があることが分かった。
 4-6月の調査結果では、大規模事業者の景況感は17ポイント改善したが、中規模事業者は2ポイント、小規模事業者は6ポイントそれぞれ悪化した。
 トラック運送業界全体の景況感はマイナス36で、1-3月の同35からほぼ横ばいだ。
 4-6月は、金融・資本市場が乱高下を繰り返し、株安や円高に触れる揺り戻しの動きが見られたが、企業マインドは改善の方向にあった。
 日銀短観の4-6月期調査では、大企業は製造業を中心に業況判断DI値が改善した業種が多く、企業マインドの改善が広がってきている。
 一方、トラック運送業界では、軽油価格が高止まりし、依然として燃料費負担が大きい状況が継続した。
 全ト協の景況感4-6月調査では、大規模事業者の景況感は相対的に水準が高く、小規模事業者は低い。中規模事業者はその中間だ。
 地域別では、1-3月までは相対的に水準が良かった東北が水準を下げ、水準が低かった北陸信越が上昇した。主な品目別では、建設関連貨物の改善が目立った。
 大手製造業などでは、例えばトヨタの4-6月決算は純利益が過去最高となるなど円安効果が現れているが、中小運送事業者にはアベノミクス効果もまだ届かないようだ。
 今後の見通しはどうか。7-9月のトラック業界全体の景況感見通しは3ポイント上昇のマイナス33となりやや改善に向かうが、燃料コストの上昇が見込まれるほか、ドライバーの高齢化、新規ドライバーのなり手不足などの不安要素がある。
 人手の過不足指標は、1-3月の30から4-6月は32とやや水準を上げ、7-9月には41に上昇する見込みだ。この指標はプラスの数値が大きくなるほど不足感が強いことを表す。地域別では、東北、北陸信越の水準が高く、規模別では大規模事業者に不足感があるという。
 景況感調査では、日々の物量の増減に対する効率的な人員配置・配車等に課題があるなど、先行きには不透明感があると指摘した。
 規模別の7-9月景況感見通しは、大規模、中規模はわずかに低下するものの、小規模事業者の景況は9ポイント改善する見込みだ。
 日通総研の物流短観では、荷主の荷動き指数は7-9月に2年ぶりにプラスに浮上する見通しで、トラック運賃の指数も7-9月はプラス5と強含む。運賃水準の上昇を期待したいところだ。

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