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日本流通新聞8月26日付紙面から

社説:警察庁の検討に期待する

 トラック運送業界の懸案であった、中型免許問題が一気に制度改正に向けて動き出した。
 古屋圭司国家公安委員長が21日、星野良三全日本トラック協会会長に伝えたもので、古屋委員長は、9月に有識者からなる懇談会を設置し、トラック運送業界や全国高等学校校長協会などにヒアリングしながら、少し時間をかけて検討する考えを示したという。
 22日の全ト協常任理事会終了後、記者団の取材に応じた細野高弘専務理事は「我々が要望していた普通免許の拡大ではなく、若年労働者の雇用対策として、18歳でも何らかの運転ができるような措置をとるための道が開かれた」と述べ、18歳で2t車クラスの運転を可能とするための検討が行われるとの見通しを示した。
 2t車にパネルバンやパワーゲート、冷蔵冷凍仕様などの架装を行うと、車両総重量が5tを超えてしまい、普通免許で運転できなくなってしまうという問題が指摘されていた。
 2t車は、主にコンビニ配送や宅配便の集配などで使われ、業界に入った新人が運転するケースが多い。ところが、中型免許は20歳以上でなければ受検できないため、高卒で採用された若年運転者が運転業務に就けないという問題が発生。運送会社が若年者の採用を抑制する動きまで出始め、全国の公立、私立高校の校長で構成する全国高等学校長協会も卒業生の就業機会確保の観点から、普通免許の運転範囲を拡大するよう要望していた。
 トラック運送業界などの要望は、普通免許で運転可能な車両の上限を現行の車両総重量5tから6.5tに引き上げるよう求めるものだが、警察庁の有識者懇談会では、普免の拡大ではなく、中型免許の受験資格を18歳に引き下げる方向での検討となる見通しだ。
 中型免許の運転可能範囲は、車両総重量5t以上11t未満だが、すべての範囲の受検年齢を引き下げるのか、範囲を例えば5t以上6.5t未満に限定して引き下げるのかは不明だ。また、受検年齢の引き下げには、追加教習などの条件が付加される可能性が高い。
 細野専務理事は「法改正は困難だろうということで、内閣府令改正で実現できる普通免許の拡大を要望していたが、業界の声だけ聞いて対応するのではなく、有識者の意見も聞いて大局的に判断すべきと考えたのでは」と解説する。
 実現すれば、トラック業界、若年労働者にとって朗報だ。今後の警察庁の検討に期待、注目したい。

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