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日本流通新聞9月16日付紙面から

社説:再び「燃料高騰からトラックを守れ」

 軽油価格の高騰に苦しむトラック運送業界が、燃料サーチャージの導入促進や補助金創設などの政策実現に向けた活動を強化する。全日本トラック協会は13日、「燃料高騰対策本部」を設置し、業界をあげた取り組みをスタートさせた。
 業界は今年5月の「燃料価格高騰経営危機突破総決起大会」で、「燃料費を補填する補助金の創設」、「燃料サーチャージ導入の促進」、「エネルギー価格の対策の強化」、「軽油引取税の旧暫定税率の廃止または一時凍結」を要望した。
 全ト協調査によると、当時の軽油ローリー価格(全国平均)は107円57銭だったが、足元の8月第3週では113円13銭と、5円以上も値上がりしている。にもかかわらず、「値上がり分を運賃に転嫁する」サーチャージ導入に取り組む事業者は多くない。
 全ト協の「軽油価格の高騰と運賃転嫁に関する調査」(13年3月)では、「全く転嫁できていない」が9割近い87.8%だった。今後も軽油価格が続いた場合「トラック運送事業を継続できるか」には「事業規模の縮小や廃業まで視野に入り将来の事業継続が不安」(60.6%)と「経営努力にも限界があり、将来の事業継続が不安」(33.8%)を合わせて95%近くにもなる。
 自転車を使用した人力による配送で知られる事業者は、集荷サービスでトラックを使うが、燃料費の高騰で「ネットワークの維持が困難になった」として、今月末で2つのエリアで集荷を廃止する。軽油価格の高騰は、企業努力では限界にきている。
 ある中堅企業は8月のローリー価格が前年同月に比べ、1リットルあたり12円も値上がりし、年間で1億5000万円の負担増になっているという。燃料サーチャージ導入に熱心に取り組んでいるが、現状では自社での運行は難しくなっている。
 燃料高騰の影響を受け、トラック実運送の8月の倒産は前年同月比35.7%増と増加傾向だ。全業種の企業倒産は、輸出中心の製造各社や公共投資・復興需要など建設業界が大幅に減少したため、8月は前年同月比7.3%減の785件だ。800件割れは2007年4月以来、6年4カ月ぶりとなる。
 軽油ローリー価格は2009年3月時点の72円85銭と比較すると、40円28銭も上昇している。疲弊したトラック運送業界にとって約6650億円ものコスト増は「危機」である。
 日本流通新聞は今年3月18日付で「燃料高騰からトラックを守れ」と社説で主張した。再度、主張するとともに全ト協「燃料高騰対策本部」の積極的な活動に期待したい。

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