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日本流通新聞9月23日付紙面から

社説:中型免許、大都市事業者は調査協力を

 中型免許の見直しについて、全ト協が全会員事業者約5万社を対象とした、異例の大規模実態調査をすることになった。
 実態調査は、警察庁が9月26日に初会合を開く、「貨物自動車に係る運転免許制度のあり方に関する有識者検討会」のヒアリングに対応するために行うものだ。
 実態調査結果がまとまる10月下旬を目途に、中型免許制度問題特別小委員会を設置し、問題意識の共有や理論武装を行って警察庁のヒアリングに備えるという。
 この問題は、新人ドライバーに乗務させることが多い、2t車の車両総重量が、保冷設備などの架装により5tを超えるケースが増え、普通免許しか取得できない高校新卒者などが乗務できないため、新卒者の採用を控える動きが出ている、というものだ。
 このため、全ト協や全国高等学校長協会などは、普通免許で運転できる車両の総重量上限を5tから6.5tに引き上げるよう求めていた。
 これに対し、警察庁の検討は、現在20歳以上でなければ受験できない中型免許の年齢要件を引き下げ、18歳でも2t車クラスの車両を運転できるようにする方向で行われるとみられている。
 中型免許の運転可能範囲は、総重量5t以上11t未満だが、このすべての範囲を18歳で運転可能とする必要はない。業界などの要望は6.5tまでであり、5〜6.5tまでを18歳で運転できるようになればよいのだ。
 今年1月に運転免許制度が改正されたEUでは、総重量3.5t以上の貨物自動車は免許取得年齢が21歳以上とされたが、このうち7.5tまでは18歳に据え置かれている。
 我が国の積載量2t車クラスの車両のうち、総重量が5t未満であるのは43%で、半数以上は5tを超えるが、総重量6.5tまでで2tクラス全体の98%をカバーする、というデータもある。
 2t車クラスの営業用トラック保有台数は32万台で、都道府県別の分布状況をみると、東京が12.0%で最も多く、次いで大阪の9.7%と大都市部に多く分布している。東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏1都3県に、2t車の3割が集中している。
 このため、今回の中型免許問題は、大都市部でより関心が高いとみられている。免許制度の改正は、業界の将来の労働力確保にも大きな影響を及ぼす、重要な問題だ。とくに大都市の事業者は積極的に調査に協力し、業界の理論武装に一役買ってほしい。

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