社説:収益改善と強含む運賃相場
物流企業の2013年4-9月決算発表が相次いでいる。
大手各社の決算は、収益性向上への取り組みが目立ち、大幅な増益を果たす企業もある。
最大手・日本通運では、今年4月から取り組んでいる中期経営計画2015に基づき、国内事業の収益性向上に取り組んでおり、これらの取り組みが奏功して、2012年4-9月期に0.4%だった国内複合事業の営業利益率は1.5%へと向上し、2013年10月−2014年3月期はさらに2.4%へと向上する見込みだという。2013年度通期では、当初目標の2.0%を達成する予定だ。
同社では、国内事業の限界利益管理を進めており、採算割れの顧客に対しては運賃値上げを要請するとともに、費用の管理も徹底している。国内複合事業の営業利益率を2015年度に3.0%まで引き上げる計画だ。
ヤマトホールディングスの場合は、売上げの拡大に伴う増益だ。ネット通販を中心とした法人利用が拡大し、宅急便取扱個数は前年同期比11%増と伸長。今後のさらなる物量増加時でも品質を維持するために、先行的に人員投入したことにより集配コストは増加したものの、収益の拡大で利益も伸ばす結果になった。
同社のデリバリー事業の営業利益は、前年同期比51%増の大幅な増益だ。
佐川急便を中核企業とするSGホールディングスの場合は、宅配便の適正運賃収受に取り組んだ結果、4-9月の取扱個数は前年同期比11%減と大幅に減少する結果となった。だが、一方で宅配便単価は459円から481円へと22円上昇し、連結営業利益は54%増の213億円へと拡大した。取扱個数が減少した結果、協力会社への外注費支払いが183億円減少し、社内労務費も118億円減少したためだ。
ただ、取扱個数の減少と単価の上昇が想定以上に進んだため、今後は付加価値を高めたサービスを提供して取引拡大に転じる構えだ。
運賃値上げや収益改善への取り組みが進む一方で、景気の回復とともに足元の運賃相場が強含んでいる。
日通総研が荷主企業を対象に調査した企業物流短期動向調査(短観)の9月調査結果によると、期を追うごとに「値上がり」になると見る荷主が増え、10-12月の運賃動向指数は一般トラック運賃でプラス7(7-9月はプラス5)、特積みトラック運賃で同9(同7)へと上昇する見込みだ。
「すでに車が確保しにくく、単価も上がっている。3月の引越需要を消化しきれないのでは」(大手)といった声も聞かれる。