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日本流通新聞11月18日付紙面から

社説:4-6月期に向け支援策を

 トラック運送業界で、車両不足が話題になっている。大手物流会社は一様に、年末や年度末の車両確保に懸念を示し始めた。
 2009年のリーマンショック前までは、運送事業者は需要の増加に対し、ある程度増車で対応していたが、リーマン後は、多額の減価償却費が発生する増車を避け、傭車で対応してきた傾向がある。
 ところが、アベノミクス効果により国内の輸送需要が持ち直しつつあるなかで、トラックが足りないという声が高まりつつある。
 全日本トラック協会と日本貨物運送協同組合連合会が開発・運営する求荷求車システム「WebKIT」の求車情報登録件数は、前年同月比1.5倍増の勢いで増加している。クルマ不足を象徴する動きだ。今年9月にすでに昨年12月の求車件数を超え、クルマを求める勢いは増している。
 物流大手のなかには、増車に踏み切る事業者もあるようだが、需要が減少したときの償却負担に不安も残る。荷主や元請けが保証してくれない限り、単純な増車には物流事業者は慎重だ。
 車両不足の背景には、待遇悪化によるドライバー不足も指摘されており、業界にとっては深刻な問題だ。
 大手事業者のなかには、来年3月の引越需要をこなせるかどうかを心配する向きもある。来年3月は、消費税率引き上げ前の駆け込み需要も見込まれるからだ。
 住宅や自動車ではすでに駆け込み需要が発生しているとの見方もある。また、4月以降の反動減も心配だ。車両不足により3月の需要をさばききれず、4月にずれ込むのではないかとの観測もある。
 繁忙期の3月の人件費は4月に支払いを迎え、燃料代は5〜6月に支払いを求められる。このため、軽油価格が高止まり・高騰を続けた場合、需要が減る4-6月期のトラック運送業の経営環境を心配する声は少なくない。
 経営者にとっては、来年4-6月期をどのように乗り切るかが当面の大きな課題となろう。
 安倍政権は、消費税引き上げの反動減を緩和して景気の下ぶれリスクに対応するため、12月上旬に新たな経済対策を策定する予定だ。経済対策は、来年4-6月期に見込まれる反動減を大きく上回る5兆円規模とし、そのなかにはエネルギーコスト対策も盛り込まれる予定となっている。
 トラック運送事業の資金繰りが厳しくなると見込まれる4-6月期の対策として、補正予算による支援が不可欠な状況となりつつある。

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