社説:小規模化に歯止めはかかるのか
2012年度末時点のトラック事業者数が再び減少に転じた。
事業者数は、1990年の規制緩和以降増加の一途をたどり、1990年度に4万72社だったものが、ピークの2007年度には6万3122社へと58%も増えた。2008年度に初めて減少に転じ、2009年度も2年連続で減少したが、2010年度、2011年度と再び増加していた。
2012年度末は事業者数が減少に転じたが、車両数は逆に増加に転じた。トラック業界に一体何が起きているのか。
規模別の事業者数をみると、これまで増加傾向にあった10台以下の事業者数が前の年度の3万6679社から3万5992社へと757社も減っている。率にして2%の減少だ。全体に占める割合も58.1%から57.1%へと低下した。
その一方で、規模の大きい501台以上の事業者は11.5%増の68社、201〜500台が15.2%増の205社、101〜200台が15.1%増の715社と大幅に増えている。
さらに、51〜100台規模が5.0%増の2690社、31〜50台も5.1%増の4310社、21〜30台も2.8%増の5893社へと増えており、規模別で減少したのは10台以下と11〜20台規模だけだ。
トラック運送事業者は、規制緩和による最低車両台数の引き下げで小規模化が進み、そのことが業界内にいくつかの問題を生んできた。取引の多層化や投資余力の縮小による安全確保面への危惧等々。その背景となっている小規模化に、歯止めがかかりつつあるのか。
地域別に事業者数をみると、関東集中の傾向が見て取れる。関東では前年度より74社増加して2万22社となる一方で、近畿が79社減の9902社となるなど、復興需要が旺盛な東北を除きすべてのブロックで事業者数が減少している。
車両数を地域別にみると、やはり関東が1987台増の42万1675台、東北が1764台増の9万9051台と増加しており、近畿は2272台減の20万5536台、中部も1354台減の18万8908台と減少している。
車両数は、九州で大幅に増加している。九州は7734台増えて13万8162台だ。全国の増加台数が9805台であることを考えると、九州の台数増は際立っている。九州のうち、福岡で6128台増えている。ただ、事業者数は逆に減っている。九州の事業者数は54社減であり、福岡で見ても56社減だ。福岡では事業者の小規模化に歯止めがかかりつつあるのか。