社説:増税後の反動減を乗り切れ
2014年の幕が開けた。
昨年は、政権交代直後から新政権が積極的な金融政策を打ち出し、市場もこれを好感して、株価は1年で6割も上昇した。昨年末には6年ぶりに1万6000円台を回復し、円安・株高を背景にデフレ脱却への道筋をつけた1年だった。
円安の定着を受けて、企業業績も回復基調を強めた。昨年9月の日銀短観では、大手製造業の景況感が3期連続で改善し、リーマンショック後の最高水準となった。
大手物流企業も不安定な欧州経済や中国経済の減速を受けて国際航空貨物の落ち込みが見られたが、通期では概ね増益基調だ。
足もとの輸送動向は、全ト協が昨年12月に実施した緊急調査によれば、4割の事業者が「貨物量が増加傾向にある」と答えた。
車両不足も顕在化している。全ト協が開発し、日貨協連が運営している求荷求車情報ネットワーク「WebKIT」の昨年11月の求車情報登録件数は、前年同月比53.4%増と激増しており、12月も同様の傾向となった模様だ。
運賃も上昇傾向を強めた。WebKITの成約データをもとに全ト協がまとめた運賃指数は、2010年4月を100としたものが2013年11月には114となり、14%の上昇だ。2013年1月と比べても6%以上の値上がりで、12月はさらに11月より1割程度上昇している模様だ。
では、今年はどうか。1-3月は、消費増税前の駆け込み需要が見込まれる。全ト協の緊急調査では、年明け1月以降の需要に対し、35%の事業者が「輸送力を確保できない」と車両不足を見込んでいる。「WebKIT」の求車情報件数も例年は12月がピークとなるが、今年は3月にピークが来るのではとの見方もある。需給バランスから、運賃も同様の傾向になることが見込まれる。
問題は、4-6月期の反動減であり、その後経済が順調に回復基調に戻るかどうかだ。
日通総研の国内貨物輸送見通しによると、2014年度は駆け込み需要の反動減に加え、消費増税に伴う内需の減退などが輸送量を大きく下押しするため、総輸送量は前年度比1.9%減の減少に転じると予想している。
2014年度の経済動向について日通総研は、「駆け込み需要の反動や増税による個人消費や住宅投資の落ち込みが不可避」と指摘した。
ただ一方で、増税直後の4-6月期はマイナス成長を余儀なくされるものの、世界経済の持ち直しと円安効果を追い風に輸出の堅調な伸びが期待され、7-9月期以降は再びプラス成長に復帰すると見込み、「『脱デフレ』に向けての動きが途切れることはない」とした。
トラック運送事業者にとって4-6月期は、繁忙期の人件費や燃料費の支払いを迎える正念場だ。円安の進行で燃料価格は上昇を続けており、4-6月期を何とか乗り切って7-9月期以降の回復を期待したい。
政府も4-6月の需要減に対応するため、2013年度補正予算と2014年度予算を合わせた「15ヵ月予算」で切れ目なく経済を下支えする考えだ。
トラック運送事業者向けの補助金は補正予算で50億円、来年度予算で60億円の計110億円が用意される。より幅広く補助金を行き渡らせるため、車両補助のほかにエコタイヤ補助を創設する点が特徴だ。こうした補助金も活用して、増税後の反動減を乗り切りたい。