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日本流通新聞2月3日付紙面から

社説:引越 繁閑料金差で分散できないか

 全日本トラック協会が引越繁忙期対策として、企業や消費者に対して異例の呼びかけを行っている。
 引越輸送は、毎年春休みの3月中旬から下旬にかけてが最繁忙期で、1年の引越のうち約3分の1が集中する。
 とくに今年は、景気の回復と消費税増税前の駆け込み需要の影響で、一般の商業貨物輸送での車両不足が顕著になると見込まれており、引越輸送も「未曾有」の車両不足、人手不足となるのではと懸念されている。
 このため、全ト協では啓発チラシを荷主団体223団体に送付し、引越輸送の分散利用に協力を呼びかけた。
 例年、全ト協の引越部会がまとめる繁忙期対策は、事業者向けの対策だが、今年は企業や消費者に向けた分散利用の呼びかけが中心となる。こうしたことは全ト協でも初めてのことで、異例の措置と言える。
 引越輸送の車両不足は、昨年末のWebKITにおける求車情報登録件数の伸びを見ても明らかだ。荷物別の12月の求車情報件数のうち、引越貨物は758件で、前年同月と比べて71%も増えている。最も伸び率が高かった荷物は石油製品で、同77%増の667件だが、引越貨物の伸びはそれに次ぐ大きさだ。
 引越日が集中すると、「希望日に引越ができない」、「無理に受けてもらったが、予定時間より大幅に遅くなった」といったトラブルを招き、クレームにつながることが心配される。
 このため全ト協では、とくに混み合うことが予想される3月21日-31日の11日間を避けて、3月上旬や4月以降の引越を検討するよう求めている。
 全ト協ではさらに、2月10日頃から、同協会ウェブサイト上で、カレンダーに○×△の印を付けることで消費者に混雑状況を分かりやすく情報提供する予定だ。
 一方、繁忙期と繁忙期以外では、引越のための傭車料金相場が大きく異なることも予想される。引越にかかる費用に大きな差が出ることもありうる。
 航空券やゴルフのプレーフィーは、曜日や季節によって料金が異なることは半ば常識だ。トラック運賃は規制緩和により自由化されてしまったが、消費者を直接の取引相手とする引越輸送については、何らかの公定による運賃・料金の目安を設定すべきではないか。消費者が料金の高い繁忙期を避けて、安い閑散期に引越をするという選択をしやすくなるような工夫が必要だと思うが、いかがだろうか。

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