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日本流通新聞3月3日付紙面から

社説:割増料金で「デフレ脱却」を

 3月中旬から4月上旬にかけての引越繁忙期を控えて、作業の集中を分散させるための取り組みが広がっている。
 今シーズンは、折からの景気回復に加え、消費税引き上げ前の駆け込み需要で一般の商業貨物の荷動きも活発となり、例年以上に車両や人手が不足し、引越輸送をさばききれないのでは、と心配されている。
 引越最大手の日本通運では、初めて繁忙期に割増料金を設定する。単身パックが対象で、3月20日から4月5日までの期間の利用は2000円割増とする。単身パックSならばネット申し込みで1ボックス当たり1万5000円であり、13%の割増となる計算だ。対象期間内の土日祝日に利用する場合は4000円割増となるため、27%割高になる。
 日本通運では、逆に閑散期に「春の新生活応援キャンペーン期間」と「特別割引期間」を設定し、消費者を誘導したい考えだ。
 キャンペーンでは、1月20日から3月20日までの利用客に対し、抽選でディズニーリゾートのチケットなどをプレゼントして早めの引越を促し、特別割引では、4月7日から同25日までの期間、パック商品以外の引越料金を2割引する。
 繁忙期は高く、閑散期は安い。旅行やレジャーでは当たり前のことだが、トラック運送業界では低価格競争になかなか歯止めがかからず、輸送品質の低下も懸念されていた。
 日本通運の割増料金設定に対し、業界からは歓迎する声があがっている。
 全国引越専門協同組合連合会の立野正雄専務理事は27日の記者会見で質問に答え「引越業界はこれまで、プライスリーダーがプライスダウンしてきた。加えて、価格破壊のような料金で、品質をどんどん落とす業者も出てきて、業界の信頼を揺るがしている。そのようななかで、プライスリーダーがキチンと割増料金を収受するようになれば、ありがたい。大手専業者も追随してほしい。『繁忙期には割増料金を収受できる』ということが広く浸透すれば、業界にとってもよいことだ」と述べ、高く評価した。
 立野専務理事はさらに「それなりの料金を収受できれば経営環境もよくなり、戦力も投下できるし、品質も上がるという好循環になる」と期待感を示した。
 2月3日付の小欄でも、繁忙期と閑散期に料金格差を設けることで、引越の分散を図ることを提案した。割増料金の設定は、トラック運送業界における「デフレ脱却」に他ならない。こうした動きが業界全体に広がることを大いに期待したい。

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