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日本流通新聞3月17日付紙面から

社説:正直者が損しない政策を

 トラック産業の健全化・活性化に向けた有識者懇談会が初会合を開いた。
 有識者懇談会は、トラック産業将来ビジョン検討会取組作業部会に代わる後継組織として設置されたもので、メンバー構成はほぼ同様だが、行政を除く委員数は11人から16人へと増員された。
 トラック産業の健全化策としては、不適正事業者に対する指導強化や優良事業者への配慮、適正運賃収受、多層構造の適正化、参入時の事前チェック強化などを検討する。
 一方の活性化策としては、人材確保策のほか、トラック産業の新たな事業展開、一層の社会機能の発揮などを議論する。
 初会合では、国交省側が人材確保策の一環として、トラック運転者に対する新たな公的資格制度の創設を提案し、今後具体的な制度設計を進めていくことになった。
 2008年に国交省の検討会が提言した「優良ドライバー制度」的なものだが、今回改めて制度の具体化を進めることになった背景には「トラック産業の人材確保は一筋縄ではいかない」(加賀貨物課長)との危機感がある。
 有識者懇談会ではこのほか、Gマークを連続して10年以上取得している事業者に対する表彰制度案も提示された。近く通達し、4月から実施するという。
 有識者懇談会で示された新たな施策はほぼこの2点だが、政策の「小粒感」は否めない。
 13日都内で開かれた、道路運送経営研究会主催のパーティーで、坂本会長は、車両や運転者を持たない「水屋」の規制を求めた。つまり、多層構造による弊害の解消だ。
 下請けが数次に及ぶことで、最後の実運送を担う事業者の運賃は、元請けが受ける運賃に比べればかなり低額になることは想像に難くない。
 実運送事業者が自ら受けられずにやむなく同業者に輸送を再委託するというケースと、最初から車を持たずに運送業務を取り次ぐだけのビジネスでは質が違う。故に異なる規制が必要だ、というものだ。
 これに対し、出席した政治家からは「実運送を重視すべきだ」、「必要なことは考えていきたい」と前向きな反応が聞かれた。
 国交省の有識者懇談会で冒頭あいさつした田端自動車局長は「トラック産業は、正直者が損をしない健全な産業であるべきだ」と述べている。正直者とは、すなわち法令を遵守している実運送事業者である。国交省には、真面目な実運送事業者が損をしない、抜本的な政策を期待したい。

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