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日本流通新聞4月14日付紙面から

社説:労働力確保へ知恵絞れ

 トラック輸送での車両不足、人手不足がこの3月、ピークを迎えた。
 国土交通省が急遽開催した、物流問題調査検討会では、ドライバー不足のため、低運賃の輸送依頼を避けたり、増車ができない、といった事業者の声が紹介された。全事業者的に車両不足のため、傭車を確保できない、との声も聞かれたという。
 また、低運賃の仕事が敬遠されるとともに、待機時間が長いなど悪条件の仕事も引き受け手がない状況が報告された。
 荷主に出荷調整を依頼して納期をずらしたり、自社の管理・事務部門からの応援を要請したケースもあり、RORO船や鉄道など他の輸送モードを利用した例もある。
 これらの事業者の声は、地方運輸局を通じて事業者から聴取したもので、各運輸局ではパートナーシップ会議などの場を活用し、荷主等に対して適正取引や出荷調整などの協力要請を行ったという。
 3月のトラック不足は、求荷求車情報ネットワークであるWebKITの求車件数でも裏付けられた。3月の求車件数は、過去最高だった昨年12月を2万7000件以上上回り、12万5954件となったが、成約率はわずか9.8%にとどまった。つまり、10万件以上の輸送需要に応えられなかったことになる。
 そのKIT求車件数は、4月に入っても前年比2〜2.5倍の水準で推移しており、その勢いを維持している。
 日通総研が荷主企業を対象に調査した、4-6月の国内向け出荷量荷動き指数は、1-3月のプラス31から一気に急降下してマイナス9へと40ポイントも下落する見込みだ。消費増税の反動減だが、4月のKIT求車件数を見る限りでは、反動減は限定的とも見える。KITの成約運賃指数もなお高い水準を維持している模様だ。
 低運賃を敬遠したり、悪条件の仕事を断るなど、運送事業者にとっては運賃を含めた運送条件の改善を求める好機だ。運送条件の改善は、ドライバーにとっても労働条件の改善につながるはずだ。
 太田国交相は、トラックドライバーは外国人技能実習制度になじまない、との考えを示した。ならば国内で確保するしかない。
 人口減少のもとでは、労働力は他産業との奪い合いになる。待遇改善はもちろんのこと、「毎晩家に帰りたい」という若手ドライバーのニーズに応えるなら、長距離輸送の中間地点でヘッドとシャーシを交換するトレーラーによる中継輸送システムを構築するなど、様々な知恵を絞ってみたい。

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