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日本流通新聞4月21日付紙面から

社説:蛇口絞って健全な業界に

 全日本トラック協会が、新たな規制強化要望をまとめた。
 新規参入規制の強化では、(1)新規許可手続きの厳格化(2)法令試験のさらなる厳格化(3)事業用自動車の要件強化(4)事業用自動車の事故保有義務化(5)5両割れ事業者の取扱い厳格化——を求めているほか、「水屋」と呼ばれる第一種貨物利用運送事業に対する規制強化も求めた。
 いずれも詳細な見直し内容を示しており、具体性に富んだ要望だ。
 とくに、新規許可手続きの厳格化については、許可手続きが書類審査のみで行われるため、施設や車両、運行管理体制などが事業計画通りであるか否かの確認が不十分だと指摘。このため、当初の許可条件に適合しないまま事業開始するケースも見られ、車両台数3台で事業開始の届出を行い、それを運輸局も受理し、最初から最低車両台数以下の3台で事業を始めてしまうような事例もあるという。
 このようなケースを防止するため、全ト協の要望では、運輸開始届を事前届出制とし、事業開始前に運輸局・運輸支局による現地確認を行うことを提案している。
 現地確認では、営業所、車庫、休憩睡眠施設、車両などが適切な規模で確保されているかどうかなどを厳格に審査して、許可条件に適合しない場合は改善命令を出し、それでも改善されない場合は許可取り消しとする、という内容だ。
 現地確認で問題がない、あるいは是正された場合に初めて緑ナンバーの登録に必要な書類が交付され、事業を開始することができるという仕組みで、新規許可から事業開始までの流れをフローチャートで示すなど、かなり詳細で具体的な要望だ。
 法令試験についても、実施回数を年2回に減らし、受験者は代表権を持つ常勤役員とするなど、具体的な提案だ。
 トラック業界は、規制緩和により事業者数が大幅に増加し、過当競争を招いて経営が悪化の一途をたどっている。新規参入事業者はほとんどが車両数5台で、経営基盤が脆弱であるが故に法令遵守や安全確保面での対応が懸念されている。
 事実、適正化事業実施機関による悪質違反の速報件数73件(昨年10〜12月)のうち、9割は車両数10台以下の小規模事業者だ。運行管理者が選任されておらず、点呼も行われていないという事業者だ。
 この業界を健全化するためには「蛇口を絞る」必要がある。法令を遵守できる事業者にだけ参入を認め、無計画でいい加減な事業者には参入を許さない、という当たり前のことが求められている。

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