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日本流通新聞4月28日付紙面から

社説:「水屋」の実態解明に期待

 国土交通省が、「水屋」と呼ばれる第一種利用運送事業者の実態把握に乗り出す。トラック運送業界からの問題提起を受けて、自動車局と物流部門が連携して検討を進めている。
 全日本トラック協会が16日に発表した規制見直し要望では、「専業水屋」と呼ばれる第一種利用運送事業者(自動車)に対する規制強化を求めた。
 実質的に行政による監査体制が整備されておらず、適正化指導員による巡回指導もないため、運行管理上問題のある輸送の安全を阻害する運送委託が後を絶たないとして、適用される法律を貨物利用運送事業法ではなく貨物自動車運送事業法の対象にすべきだと要望している。
 さらに、当面の間は、営業所への運行管理者の選任を義務付け、実運送事業者の運行管理者と輸送の安全確保に関する協議を義務付けるよう求めたほか、監査・指導・行政処分を実運送事業者と同様に実施し、輸送の安全を阻害する行為の禁止条項を適用するよう求めた。
 運行管理者同士が協議をすることにより、運転者の労働時間などを定めた改善基準告示を遵守できる運行依頼とすることがねらいだ。
 「水屋」を巡っては、国交省に設置された、トラック産業将来ビジョン検討会、その後の取り組み作業部会など一連の会議でも、多層構造の弊害の一因として常に課題として取り上げられ、今年3月に設置された健全化・活性化に向けた有識者懇談会でも、利用運送事業者の安全阻害行為への対応を検討することが今後の方向性として示されていた。
 「水屋」は、帰り荷の斡旋など求車と求荷のニーズをマッチングさせる役割を担っており、トラック運送事業と密接な関係がある。
 もちろん、すべての「水屋」が実運送事業者に無理な運行を強いているわけではないだろうが、全ト協では「法令を遵守できない仕事を依頼されることが多々あると聞く」と話している。
 第一種利用運送事業者は貨物利用運送事業法で規制されているため、国土交通省内では物流審議官の下の物流部門で所管されている。第一種利用運送事業者は約2万社が登録されているが、このうち専業者が何社存在するのかもわからない。
 運送取引の書面化との組み合わせにより、実態に迫ることも考えられるが、悪質な「水屋」をあぶり出すことができるかどうかは未知数だ。
 国交省では、自動車局と物流部門が連携し、サンプリング調査を含めた把握方法を検討しており、早期の実態解明に期待したい。

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