社説:続く人手不足、解決策は…
4-6月期のトラック運送業界の景況感が大幅に悪化する見通しだ。
全日本トラック協会の景況感調査結果によれば、1-3月にプラス14だった景況感判断指標は、4-6月にはマイナス47へと61ポイントも急降下する見込みとなった。
消費増税後の反動減を警戒していると考えられるが、調査結果は、「各事業者へのヒアリングによると、落ち込みは『想定内の範囲』であり、相応の対応策を講じていることも推察できる」と注釈を加えている。
ただ、「4月以降は需要の減退だけでなく、高速道路料金制度の見直しや、燃料価格の高止まりに伴うコスト増、さらに深刻なドライバー不足といった不安材料も多く、景況感見通しの判断を押し下げている」とし、コスト増や人手不足も景況感に影響を与えていると分析している。
地域別では、とくに北陸信越、四国、九州で指標を下げる見込みだ。
一方、人手不足感は、10-12月がプラス66、1-3月が同70となり、景況感が大幅に悪化する見込みの4-6月も同79と、さらに不足感は高まる見通しとなっている。
人手不足の状態が続くことは、12日に開かれた国土交通省の物流問題調査検討会でも指摘された。
全日本トラック協会が提出した物流動向に関する実態調査結果によると、今年3月のドライバー不足について、「非常に不足している」(20.7%)、「やや不足している」(46.9%)とした事業者は合わせて約7割だったが、4月の見通しでも「非常に不足する」(15.4%)、「やや不足する」(43.6%)と計約6割の事業者が引き続き不足する見込みとしている。
ドライバーの待遇改善が待ったなしの状況だが、その待遇改善の原資となる運賃については、国土交通省が物流問題調査検討会で報告した4月の状況によると、需要増に対応するため「荷主の選別、運賃値上げ交渉を継続」した事業者の例があったほか、「値上げ交渉に応じる荷主も少し出てきているものの、燃料高騰によるコスト増で従来の運賃水準では割に合わないため」需要に応えられなかったケースも紹介された。さらに、「ツーマン運行に見合う運賃が支払われないため、改善基準告示を守れない運行は断っている」とする声もあった。
さらに全ト協の報告によると、今年3月の運賃が前年同月より上昇している事業者が約3割、4月の運賃が3月より上昇する見込みとした事業者も約2割あった。
荷主の理解を得て、運賃値上げによりドライバーの待遇改善を図るしかないのではないか。