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日本流通新聞6月23日付紙面から

社説:新規就労者を生み出せ

 国土交通省が自動車運送事業の労働力確保策をまとめた。トラック、バス・タクシー、自動車整備業の人材の確保・育成に向け、自動車局にプロジェクトチームを設置して検討してきたものだ。
 自動車運送事業は、過酷な労働環境を背景に、他産業と比べて労働力確保が困難な分野だ。中高年層の男性労働力に依存した状態が続いており、将来的に深刻な労働力不足に陥る懸念がある。
 このため、これまで採用が進んでいなかった若年層、女性を中心に新規就労を促し、定着させるための取り組みを総動員させる必要がある。
 深夜・早朝や休日などの不規則な就業形態、長距離トラック・バスの長時間拘束、荷役作業や整備などの力仕事といった労働実態から、全産業平均と比べて労働時間が長く、年間所得は低いのが実態だ。
 国交省がまとめた対策では、業界体質を抜本的に改革するために事業者や事業者団体が取り組むべき具体的事項を示している。
 柱は3つで、(1)リクルート強化や職場環境整備など、採用から定着まで一貫した取り組み(2)若年層、女性の就労を阻んできた「働き方」を変える抜本的な取り組み(3)限られた人的資源の中で労働生産性を向上させる輸送効率化の取り組み----だ。
 採用から定着までの取り組みとしては、戦略的なリクルート、労働環境の改善、女性のための環境整備などをあげ、「働き方」を変える取り組みでは、中継輸送の導入や女性向けの短時間勤務の導入などをあげた。輸送効率化では、効率的な運転者の運用、過剰な荷待ち時間など非効率な商慣行の是正などを具体的な取り組みとしてあげた。
 行政としては、こうした事業者の取り組みを支援するため、ガイドラインを示して取り組みを促し、優良事例の表彰制度や運輸局によるシンポジウム開催により、学生や一般市民にも広く周知し、イメージを改善させたい考えだ。
 さらに、制度面でも事業者の取り組みを後押しする考えで、運行管理制度のあり方を見直し、次世代デジタルタコグラフなどの活用により、中継輸送、共同運行、管理の集中化などに対応した運行管理制度を検討する。
 また、「トラックマスター」などドライバースキルを公的に評価する制度も創設する。
 運送事業者は、運転者募集の際、即戦力となる経験者を求める傾向が強いが、人口減少時代のなか、未経験の若年層や女性を採用して「育てる」手間を惜しまずに、業界への新規就労者を生み出してほしい。

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