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日本流通新聞8月4日付紙面から

社説:緊急輸送の中枢機能に期待

 全日本トラック協会が新宿区四谷3丁目に建設していた全日本トラック総合会館が竣工した。
 大地震に強い免震構造を採用し、万一に備えて2つの変電所から受電できる電力2回線受電機能も持つ。
 南側壁面と屋上には太陽光発電パネルを備え、20kw相当の電力を確保して、ランニングコストの低減および災害時も電力を有効活用する。
 2階の研修室は、有事の際、災害対策本部としての活用を想定しており、非常用発電装置は72時間の連続運転が可能だ。災害時に断水した場合も給水可能な給水設備、帰宅困難者のための食品、飲料などを備蓄する備蓄倉庫も備えた。
 落成祝賀会であいさつした星野会長は「全国6万3千事業者の防災司令塔として、暮らしと経済のライフラインを守っていきたい」と新会館竣工の意義を強調した。
 旧トラック会館跡地と買収した隣接地を合わせて約164坪の敷地に建設され、19年ぶりに四谷の地に戻ってきた。
 竣工式と1日違いとなったが、8月1日付で全ト協は、災害対策基本法の指定公共機関として指定された。同時に追加指定された日本医師会とともに、業界団体としては初の指定だ。
 内閣総理大臣による指定という重みのあるもので、輸送関係では日本通運、ヤマト運輸、佐川急便、西濃運輸、福山通運の民間企業5社が指定されている。これらの指定公共機関は、防災業務計画の策定をはじめとして、災害予防、応急、復旧などで重要な役割を果たす。
 今回の追加指定は、東日本大震災の経験や首都直下型地震などの被害想定を踏まえ、官民が一体となった取り組みを強化することが目的だ。
 2011年3月11日、東日本大震災の発災直後に全ト協は緊急災害対策中央本部を設置し、24時間体制で国からの緊急輸送の要請に応えた。
 全ト協が輸送手配を取りまとめ、実際の輸送は日通を中心に、ヤマト、佐川、西濃、福通などの大手と中堅事業者、さらに一部の中小事業者にも要請し、過去最大規模の緊急輸送体制が構築された。
 緊急輸送は、トラックを中心に鉄道、船舶、航空などが活用されたが、ドア・ツー・ドアの輸送を得意とするトラックが食料の約7割、飲料の約6割を輸送するなど大きな存在感を示した。
 指定公共機関としての指定は、こうした実績が評価されたものとみられる。新会館の竣工により、名実ともに全国の防災司令塔として、緊急輸送の中枢機能を担うことが期待されている。

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