社説:要望実現へエネルギーを
第19回全国トラック運送事業者大会が「トラックの日」の9日、福岡市内で盛大に開かれた。1500人を超える参加者があり、分科会では熱のこもった討議が行われた。
人材確保・育成をテーマにした第2分科会では、討議を進める中で、人材育成に積極的に取り組む企業は、輸送品質が向上することで荷主から信頼され、その結果、価格交渉力がついて適正運賃収受につながるという図式も浮き彫りになった。
ただ、現状は軽油価格高騰などのコストアップによって、収益が圧迫され、人材確保にも苦労している企業が多い。事業者大会では、燃料高騰対策として、軽油引取税の旧暫定税率撤廃などを盛り込んだ大会決議を採択した。
軽油価格高騰に苦しむ窮状を打破するため、業界は「軽油引取税の旧暫定税率の廃止、少なくとも燃料価格高騰時における旧暫定税率の課税停止措置の発動」を実現すべく署名活動に取り組んだ。
「このままでは人材の確保や労働条件の改善を図ることできず、安全で安心な輸送サービスの提供ができなくなり、国民生活に大きな支障が生ずる」として、税負担軽減に賛同を求めた。事業者大会で星野全ト協会長は、その署名数が、目標の100万人を大きく上回り200万人に達したことを明らかにした。
軽油引取税は、一般財源化により道路整備目的という課税根拠が失われている。本来なら国民が公平に負担すべきであるにもかかわらず、暫定税率は「当分の間税率」と名前を変えて課税され続け、自動車ユーザーだけが不合理な重い税負担を強いられている。さらに、農業用や船舶用の軽油は、「道路を利用しない」という理由で課税免除となったままで、課税の公平性という税の原則にも著しく反している。
軽油引取税の税収9442億円のうち、トラック運送業界はその半分に当たる4781億円を負担している。本則税率分が2234億円で、旧暫定税率分は2547億円だ。
巨額の財源を失うことになる旧暫定税率の廃止には財務省の強い抵抗が予想される。
一方、事業者大会では、会場の参加事業者から「200万人の署名には我々の期待と希望が詰まっている。会員が納得できる、形ある結果を求めたい」とする発言があり、大きな拍手があった。
全ト協は来月13日に「要望を実現する会」を開き、与党国会議員に対して直接要望する予定だ。署名の力も借りて税の不合理、不公平を訴え続け、要望を実現するために、エネルギーを注ぎ続けたい。