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日本流通新聞11月3日付紙面から

社説:過当競争時代を終わらせよ

 日本通運が、9月の貸切運賃改定に続き、トラック積合せ運賃・料金と運賃料金適用方改定に踏み切った。2011年以来3年ぶりで、1日から適用し、4日に国土交通省に届け出る予定だ。
 積合せ運賃・料金の改定幅は9.7%。適用方の改定では、館内配送料、離島への配送料を実費負担として新設する。日通では、荷主との運賃交渉時の見積もりに新タリフを適用して、実勢運賃アップをめざしていく。
 物流業界では、12月の繁忙期に向けて、人手不足や車両不足の顕在化をはじめとする様々なコストアップ要因が発生しているが、荷主との交渉が長引き、コストアップ分を吸収しきれない状況も見られる。ただ、東ト協連の運賃動向調査によると、回答者のおよそ半数がこの半年間に「運賃交渉をした」と答え、その半数以上が「値上げできた」と答えるなど、トラック運賃は着実に値上げが進展している。
 上場物流企業の第2四半期決算をみると、運賃・料金値上げでコストアップ分を吸収した企業は当初予想を上回る増益を確保しているが、運賃・料金改定の交渉が長引いている企業は下方修正などを余儀なくされ、明暗が分かれている。
 宅配大手のヤマト運輸と佐川急便も適正料金収受に取り組んでいる。ヤマトホールディングスとSGホールディングスが発表した2014年4-9月期連結決算によると、ヤマト運輸の宅急便単価は前年同期比19円上昇の592円、佐川急便の宅配便単価も同じく19円上昇し、500円に乗せている。
 第2四半期と通期の利益について下方修正を迫られた日立物流も適正運賃収受に取り組んでおり、下期は8億円の収益向上効果を見込んでいる。
 ヤマトホールディングスは10月30日の決算発表で「今後、値段を下げてシェア争いすることはない」と言明した。今回の日本通運の積合せ運賃・料金値上げへの取り組みとともに、業界全体の運賃底上げに波及することを期待したい。
 いま、業界内では「ドライバー不足や車両不足で、年末には大混乱」——こんな見出しの事態が起こる可能性さえ危惧されている。
 全日本トラック協会が実施した調査では、6月時点のドライバー不足感は「不足している」事業者が約56%だったが、現在はさらに進行しているようだ。
 日本経済は長かったデフレから脱却しつつある。安値で仕事を奪い合う過当競争は、そろそろ終わりにしたい。

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