社説:選挙後の政治に注目
永田町周辺が、解散・総選挙モードに突入しつつある。
13日開かれた「トラック業界の要望を実現する会」であいさつした細田自民トラック議連会長は「いざというときの暖かい支援をお願いしたい」と述べ、公明党の北側議連会長も「自民党だけでなく、公明党にも支援をお願いしたい」と選挙への協力を求めることを忘れなかった。
2年前に続く年末の選挙となる可能性が濃厚だ。2012年の時は、12月16日に投開票が行われ、同26日に組閣が行われた。2012年度補正予算、2013年度税制改正および当初予算編成は年明けにずれ込み、補正予算案は1月15日、与党税制改正大綱は1月24日、2013年度予算案は同29日に決定された。
2年前は、民主党から自公連立への政権交代を伴ったため、議論をし直したこともあり時間を要した。
今回は、選挙後も引き続き自公政権の枠組みが維持された場合には、1月9日の与党税制改正大綱決定をめざすという。
自公政権のままであれば、2年前ほど一連の作業が遅れることにはならなそうだが、来年度予算の越年編成は避けられず、今年度補正予算の決定時期も不透明だ。
13日の会合で、公明党の北側議連会長は「来週総理が帰ってくると、直ちに経済対策策定の指示が出ると思う。経済対策の柱の1つが、燃料高騰対策であり、エネルギー対策であり、中小企業対策だ」と述べ、業界の要望を最大限反映させる考えを強調した。
トラック運送業界の重点要望の1丁目1番地は、軽油引取税の旧暫定税率廃止だ。一般財源化により道路整備目的という課税根拠が失われているにもかかわらず、重い税負担を強いられている現状は「税負担の公平」の原則にも著しく反しており、理にかなった要望だが、ガソリン税も含めて廃止すると年間1.8兆円もの税収減となることから、実現へのハードルは高い。
代替策として、車両購入補助などが再び検討される可能性が高い。昨年は、補正予算で車両補助とエコタイヤ補助が行われたが、タイヤ補助は「使い勝手が悪い」こともあり、20億円の未執行が発生した。
13日の会合では、その20億円を車両補助に転用することが自民議連側から明らかにされた。せっかくトラック運送業界向けに措置された貴重な財源であり、有効活用できるようになったことは朗報だ。
いずれにしても、業界の要望に対する明快な答えが出てくるのは、選挙後となる。選挙後の政治の決断に注目したい。