社説:経済対策で確実な景気浮揚を
全国中小企業団体中央会(全国中央会)が20日発表した10月の中小企業月次景況調査によると、中小企業の景況は一進一退の状況にある。
10月の中小企業景況は、主要3指標のうち景況DIと売上高DIDIの2指標が悪化し、収益状況DIは横ばいだった。依然として円安に伴う原材料費の高騰や燃料価格の高止まりによる収益環境の悪化を懸念する声が多い。
運輸業は、主要3指標すべてが上昇した。とくに売上高DIは前月のマイナス5.4からプラス3.8と9.2ポイントも上昇した。水面下からの浮上は3月(プラス34.6)以来7カ月ぶりになる。
売上高DIの改善によって、景況は前月のマイナス30.0からマイナス23.3とDIが6.7ポイントも上昇したが、収益状況DIはマイナス21.2からマイナス19.6と小幅な上昇にとどまった。
ただ、売上高DIも台風など天候不順による前月分の受注・売上がずれ込み、実態を反映していないとの指摘もある。
受注単価は、前年同月に比べ上昇しているが、円安による燃料費や材料費の上昇人手不足による外注費などのコスト増で利益は変わらないのが実状だという。
百貨店、スーパー、コンビニ業界が発表した10月の売上高(既存店ベース)は、前年同月比で減少した。いずれも消費税引き上げ後の4月から7カ月連続で前年実績を下回った。しかも、百貨店とスーパーの減少幅は9月より拡大している。
減収の要因については、いずれも台風など天候不順で客足が遠のいたことをあげているが、増税後の長引く消費低迷の影響も大きい。秋の需要期に入った10月に、消費税率の引き上げが重くのしかかり売上に響いているようだ。
全ト協が発表した、7-9月期のトラック運送業界の景況感も、4-6月期に続き2期連続での悪化となった。10-12月期も僅かだが悪化の見込みだ。反動減からの回復が期待されるものの、燃料費の高止まりや労働力不足感の高まりが影を落としている。
21日、衆院は解散し、12月2日公示、14日投票に向け事実上の選挙戦がスタートした。
解散に先立ち安倍首相は、経済対策のとりまとめを指示したが、対策や補正予算の決定は選挙後となる見通しだ。トラック関係では、高速料金の大口・多頻度割引の拡充継続と車両購入補助などの燃料高騰対策が見込まれている。しっかりとした対策を打ち、確実な景気浮揚につなげてほしい。