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日本流通新聞12月8日付紙面から

社説:ドライバーを魅力ある職業に

 トラック運送業界のドライバー不足、車両不足の傾向が依然として続いている。
 全日本トラック協会が行った実態調査によると、9月から11月にかけて、「非常に不足している」と答えた事業者は2割前後、「やや不足している」が5割前後を占め、計約7割の事業者が不足感を訴えている。
 車両不足についても、「非常に不足している」が約1割、「やや不足している」が約4割で、計約5割の事業者が不足傾向が続くとみている。
 ドライバー不足による問題点としても「新規取引の受注や貨物量の増加に対応できない」が6割超で最も多く、「傭車も集まらず円滑な輸送ができない」との声も6割弱を占めている。
 国土交通省に設置された物流問題調査会は1日、物流分野の労働力不足対策アクションプランの骨子をまとめた。物流業への就業促進に向け、無償サービスとなることが少なくない荷役についての商習慣見直しや、女性の活躍推進のための職場環境整備促進に向けた指針の策定などを新たに打ち出した。
 名古屋市の運送会社ナルキュウ社長で、日本トラックドライバー育成機構代表理事の酒井誠氏が5日、新刊書を発刊した。昨夏発刊した「小さな運送・物流会社のための『プロドライバー』を育てる3つのルール」に続くドライバー育成本第2弾で、タイトルは「小さな運送・物流会社のための荷主から信頼される!『プロドライバー』の教科書」。前作が管理者、経営者向けだったのに対し、新作は高校生や未経験ドライバー向けだという。
 トラック業界では、人材確保を経験者ドライバーの中途採用に頼っていたが、「今後は未経験者・新人ドライバーで補うほか手段はない」との考えで、運送業務の正しいノウハウをわかりやすくまとめた書だ。
 全ト協の実態調査結果によると、ドライバー採用に向けた取り組みとして、42.5%が「給与、賃金を引き上げて募集」しているとし、37.3%が「勤務日数、勤務時間等の労働条件を改善して募集」していると答えている。
 国土交通省では、若者や女性の就業促進に向け、戦略的なリクルートを行うとともに、「働き方」を抜本的に改めるよう促している。
 人口減少時代の今、人材は他産業との奪い合いになっている。トラックドライバーを若者や女性にとっても魅力ある職業とするためには、労働条件や働き方の見直し、教育など事業者自身の取り組みが欠かせない。

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