日本流通新聞  
スペーサー


最新ニュース

日本流通新聞1月12日付紙面から

社説:運賃値下げの理由はない

 2014年度補正予算案が閣議決定された。昨年12月27日にまとめられた緊急経済対策を裏付ける予算で、現下の経済情勢等を踏まえた生活者・事業者への支援、地方が直面する構造的課題等への実効ある取組を通じた地方の活性化、災害復旧など災害・危機等への対応——の3分野を対象に必要な経費を積み上げたものだ。
 現下の経済情勢等を踏まえた物流事業者への支援として、高速道路の大口・多頻度割引について、最大割引率を40%から50%に拡充する措置を1年延長するために507億円を計上したほか、エネルギーコスト対策として、中小トラック事業者の燃料費対策に35億円が盛り込まれた。
 大口・多頻度割引の割引率延長は、トラック運送業界が強く求めていたものだ。
 日貨協連の調査によれば、昨年4-6月の各協同組合の高速道路料金負担は前年同期比4.6%増となった。消費増税分を除くと3%程度の負担増にとどまっている。時間帯割引などの縮小による値上がり分が、大口・多頻度割引の拡充で緩和されたためだ。2年間で1000億円以上の予算が計上されたことは、物流業界、トラック運送業界の重要性が認識されている証左といえる。
 最大5割引の延長が決まったことで、関係者はほっと胸をなで下ろしていることだろう。今後は、恒久化を求める声も強まりそうだ。
 エネルギーコスト対策としてのトラック向け35億円は、13年度補正予算での50億円に比べれば少額だが、経済対策の規模自体が前年度5兆円だったものが、今年度は3.5兆円と縮小されていること、さらに、足もとの原油価格が下落するなかでの予算折衝だった点を考慮すれば、やむを得ない額か。
 35億円の予算は、車両購入費と燃料貯蔵タンク整備費の補助に使われる予定だ。いずれもトラック事業者の燃料費削減に資するものだ。とくに新規に行う燃料貯蔵タンク整備費補助は、ハイブリッド車などの普及でガソリンスタンドが減少するなか、意義は小さくない。新車購入補助も補助対象が従来の30台以下事業者から100台以下事業者へと拡充される予定で、朗報だ。
 さて、原油価格がついに1バレル50㌦を割り込んだ。国内軽油店頭価格も24週連続で値下がりが続いている。こうしたなかで、早くも運賃値下げを切り出す荷主もいるという。
 トラック運送事業者は、燃料以外にもドライバーや車両確保のためのコストアップに苦しんでいる。運賃は値上げの必要こそあれ、値下げする理由などないはずだ。

原価計算システムのご案内はこちら

原価計算システムサポートはこちら

 

 
takeda