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日本流通新聞1月26日付紙面から

社説:時短は手待ち時間の解消から

 厚生労働省はトラック運送事業など、長時間労働者比率が高い業種について、関係省庁、業界団体などと連携し、長時間労働の抑制に向けた環境整備を進める方針だ。
 労働政策審議会(労政審)の労働条件分科会は16日、長時間労働の抑制策として「月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率を5割以上」とする規定を中小企業にも適用することに加え、「関係行政機関や業界団体などとの連携のもと、長時間労働の抑制に向けた環境整備を進めることが適当」との報告書骨子案を労政審に提出した。
 厚労省では、国土交通省や全日本トラック協会と連携し、荷主を巻き込んで手待ち時間の解消など長時間労働抑制に向けて取り組むことなどを検討しているようだ。
 厚労省の毎勤統計(2013年暦年/企業規模30人以上)によれば、年間総労働時間は全産業が平均1792時間に対し、道路貨物運送業は2189時間と、397時間も長い実態だ。また、2013年賃金構造基本調査(企業規模10人以上)によると、営業用大型自動車運転者の年間総労働時間は2508時間と2500時間を超える。
 トラック運送業界はコスト面、業務面、賃金面など多くの課題を抱えながらも、労働時間短縮(時短)の取り組みを進めてきた。ここ数年、休日増を中心に前進していたが、ここにきて停滞し、他産業に比べ格差が拡大している。
 こうした労働実態から、労組関係者は「企業内労使の努力だけでは、大幅な時短を達成することは困難であり、業界の一斉休日の取り組みを検討していく必要がある」とさえ指摘する。
 昨年10月、路線トラック事業者団体が「荷主庭先実態調査」結果をまとめ、長時間の手待ち実態を明らかにした。調査結果によると、「60分以上手待ちが発生」する割合は配達24.5%で、なかには「5〜6時間の手待ち発生」事例も見られた。荷役時間の場合、集荷で54%が「60分以上」と答えており、「仕分け」や「検品」などの附帯作業が荷役時間を増やす要因となっていた。
 調査結果からは、トラック運送事業者は「時間指定」や「受付締切」、「手待ち時間」など『時間』に関する改善を期待する声が浮き彫りとなった。
 今回、厚労省がトラック運送事業の長時間労働抑制に、荷主を巻き込んで手待ち時間の解消に取り組む方針が明らかになった。
 トラック運送事業が、他産業並みの労働時間を実現するため、正面から取り組むことを期待したい。

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