日本流通新聞  
スペーサー


最新ニュース

日本流通新聞2月2日付紙面から

社説:トラック労働条件底上げを

 トラック春闘が本格的にスタートする。運輸労連は1月28日に賃上げ要求額「1万900円中心」、率で4.5%とする春闘方針を決定した。賃上げ要求額は交通労連トラック部会と同額・同率だ。
 両組織とも、ドライバー不足などにより、トラック運輸産業を取り巻く環境は厳しさを増しているとの認識だ。しかも物価上昇の局面を受け、実質賃金は目減りしている。
 労働側は、こうした状況を跳ね返し、反転攻勢に転じるには、トラック運輸産業の「底上げ・底支え」ともに他産業との「格差是正」が必要だとしており、従来以上に踏み込んだ要求内容となった。
 背景には、他産業に比べ低賃金・長時間労働が改善されない実態に加え、労働力不足が深刻さを増していることがある。各種調査でも「ドライバー不足」を感じている企業は7割を超える。労働側にとって「賃下げ」するような状況になく、賃上げの絶好のチャンスであり、労働力不足は追い風となっている。
 ドライバー不足の深刻化で、企業では、これまで以上に労働コストと向き合う姿勢や人材への投資を重視する認識が強まっているという。そのことは、中小企業が経営改善策の一環として荷主に「適正運賃・料金」の交渉を積極的に行っていることでわかる。
 中小企業が多い建交労(全国トラック部会)が、労使で構成する中央労使協議会と共同で取り組んでまとめた「取引動向アンケート調査」は、回答者が1400社を超えた。
 荷主に対して「運賃引き上げ交渉を行った」と回答した企業は54.7%で、未だに5割台だが、2009〜2014年平均25.4%を2倍以上も上回った。「運賃は上がった」は15.0%で決して多くはないが、2009〜2014年平均の2.4%に比べ6.7倍になる。経営状況の設問については「採算はとれている」17.1%、「トントン」49.2%、「赤字経営」28.7%、「廃業も考えている」2.8%だった。
 この調査は14年目で、設問に関する傾向は2008年のリーマンショックの時と似ているが、関係者は「当時と異なる点は、経営悪化の原因を『仕事量の減少』と答えた企業、経営対策として『賃金を引き下げた』と答えた企業が大幅に減少した」ことだという。
 労働条件改善は、トラック運輸産業の健全な発展と経営改善にも最も重要な課題であることは、労使とも共通認識だ。
 荷主の理解も得ながら、長時間労働や低賃金というこの産業の労働条件の底上げを図りたい。

原価計算システムのご案内はこちら

原価計算システムサポートはこちら

 

 
takeda