社説:荷動き改善と適正運賃収受
全国中小企業団体中央会(全国中央会)が20日発表した3月景況調査によると、中小企業は未だ明るい景況感が見出しにくい状況にある。
調査結果によると、輸出関連や年度末の受注増による増収の声も一部にあるが、全体として円安・コスト高による厳しい経営環境に変わりはなく、価格転嫁も遅々として進んでいない状況だという。
中小企業が圧倒的多数のトラック運送業界では、燃料価格の下落は明るい材料であるものの、「コンプライアンスなどにかかる諸経費の負担も重く、人手不足、低運賃に加え、改善基準告示が車両不足に拍車をかけており、早急な対策が必要」との報告もある。
3月の荷動きは、一部に需要増が見られるが、全体として前年の駆け込み需要の反動減による影響で低調だった。
日通総合研究所が22日発表した物流短観(3月調査)によると、『荷動き指数』は2015年1-3月実績(見込み)が前期(2014年10-12月)実績を10ポイント下回るマイナス14と悪化している。
1-3月『荷動き指数』実績は、全15業種のうち12業種で前期実績よりも低下しており、食料品・飲料と精密機械がプラスで、残り13業種は水面下となった。しかもマイナス幅が2ケタになったのは、2013年1-3月実績(マイナス25)以来、2年ぶりだ。
一方、1-3月『運賃動向指数』実績は、全ての輸送機関で前期(2014年10-12月)実績より低下した。一般トラックはプラス35からプラス23、特別積み合せトラックはプラス30からプラス22へと低下した。
ただ、4-6月の『荷動き指数』見通しは、マイナス7へと改善する。化学・プラスチックや消費財卸がプラスに浮上するなど、11業種で若干の改善が見込まれる。4四半期連続で低迷している荷動き指数がようやく改善する見通しだ。
足元4-6月の運賃動向指数はプラス幅がさらに縮小し、一服感が出ている。ただ、4-6月以降、荷動きが改善する見通しであることから、トラック需要がひっ迫する可能性がある。運賃水準の上昇圧力は依然として強く、再び上昇していくことも予想される。
車両の確保や人材の確保を行い、コンプライアンスなどにかかる諸経費を負担するためにも、トラック運送事業者にとっては適正運賃収受が不可欠だ。運賃水準の上昇圧力は依然として強いというが、トラック事業者にとってまだ十分な水準にまで達していないのではないか。適正運賃収受の取り組みは今後も続く。