社説:「過労死等ワースト1」返上を
トラック運送業の過労死等認定件数が、6年連続で業種別のワースト1となっていることがわかった。
従来、脳・心臓疾患による労災認定件数が、「いわゆる過労死等認定件数」とされていたが、昨年11月に施行された過労死等防止対策推進法により、精神障害を含め、死に至らないケースも含めて「過労死等」と定義された。つまり、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患のほか、仕事による強いストレスなどが原因で発症した精神障害によるものも「過労死等」になる。
その精神障害による労災認定件数でも、トラック運送業は2014年度、業種別のワースト1位となってしまった。
いずれもこの6年間の推移を見ると、道路貨物運送業すなわちトラック運送業は増加傾向にある。全産業で見ると、脳・心臓疾患による労災認定件数は2年連続で減少しているが、精神障害による認定件数は6年間で倍増している。
精神障害による認定件数を業種別に見ると、以前は建設業に分類される総合工事業、医療・福祉に分類される社会保険・社会福祉・介護事業、医療業などが多かった。一方、2009年度に13件だった道路貨物運送業は2014年度には41件へと3倍に増えている。
精神障害の労災認定要件は、精神障害発病前のおおむね6ヵ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められることとされており、業務による具体的な出来事が定められている。
道路貨物運送業の2014年度認定件数41件をこの出来事別にみると、「1ヵ月に80時間以上の時間外労働を行った」が9件、「特別な出来事」が8件、「事故や災害の体験」が8件、「上司とのトラブル」が6件と続く。
「特別な出来事」とは、業務で他人を死亡させたり重大な怪我を負わせた場合など心理的負荷が極度のもののほか、発病直前の1ヵ月間におおむね160時間を超えるような極度の長時間労働があった場合だ。
脳・心臓疾患による認定を含め、道路貨物運送業の場合はいずれも長時間労働が背景にあるといえる。
国土交通、厚生労働両省は今年5月にトラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会を立ち上げ、長い間解決されずにきたトラック運送業の長時間労働改善に着手した。7月中旬以降、各都道府県にも協議会を設け、4年間かけて全国的に取り組みを進めていく予定だ。
「過労死等ワースト1」という汚名を返上するため、関係者の真剣な取り組みに期待したい。