社説:「事故起こさない」常に強く
全日本トラック協会がまとめた2014年の交通事故統計分析結果によると、営業用トラックの死亡事故件数は前年より19件少ない330件で、1万台当たりの死亡事故件数は前年の2.9から2.7に改善した。しかし、目標値である2.0を大幅に上回る状況だった。
各都道府県ナンバー別にみると、目標を達成した県は前年の11都県から12都道県に増えたが、2年連続の達成は東京、島根、宮崎の3都県のみで、達成県の顔ぶれは大きく入れ替わった。
2014年に新たに目標を達成したのは、北海道、秋田など9道県で、2013年達成から2014年未達に転じたのは宮城、山梨など8県だ。
発生地別の2014年死亡事故件数は、東京が26件で最も多く、前年の20件から6件増えた。ただ、東京ナンバーの車両が起こした死亡事故は前年より4件少ない12件と減少している。東京では、都外の事業者が起こす死亡事故が多いということだ。
全ト協では、事故件数や発生地別のほかにも、道路区分別、事故類型別、行動類型別、時間帯別など詳細データを公表し、事故防止対策立案への活用を求めている。
これまでトラック運送業界は「トラック事業における総合安全プラン2009」で、2013年までに交通事故による死者数を330人以下などとする独自目標を掲げ、削減に取り組んできたが、その目標は達成できなかった。
そこで昨年、改定した「トラック事業における総合プラン2009」で、交通死亡事故件数の新たな数値目標(当面の重点削減目標)として、「事業用トラックを第1当事者とする死亡事故件数を、車両1万台当たり『2.0』件以下とし、各都道府県別(車籍別)の共有目標とする」ことを掲げた。
この共有目標を達成するため、各年の四半期ごとの速報値として、発生地別、車両区分別等の交通事故分析が行えるよう新たな統計分析手法を取り入れて、交通事故統計分析結果を公表している。
2015年第1四半期(1〜3月)の交通事故統計分析結果によると、営業用トラックの死亡事故件数は88件で前年同期より5件少ないものの、このままのペースで死亡事故件数が推移すると年間352件(88件×4)となる。1万台当たり死亡事故件数は「2.9」となり、昨年よりも悪化してしまう。
前年より少ないからといって気を緩めず、交差点での安全確認といった基本動作を改めて徹底するなど、「事故を起こさない」という気持ちを常に強く持ち続けたい。