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日本流通新聞8月3日付紙面から

社説:荷動き回復に期待

 消費増税後の長引く荷動きの低迷から、ようやく抜け出せそうな指標が発表された。日通総合研究所の企業物流短期動向調査によると、7-9月の荷動き指数は前期(4-6月)に比べ7ポイント上昇し、マイナス4と水面近くまで改善する見通しだ。
 消費増税以降、荷動き指数は2015年4-6月まで5期連続マイナスだったが、日通総研の担当者は、7-9月の荷動き回復テンポが加速し、水面下から浮上しプラスもありうると指摘する。
 7-9月の荷動き指数「プラス転換」可能性は、製造業・卸売業など全15業種のうち11業種で改善が見込まれているからだ。とくに回復の顕著な「一般機械」、「電気機械」、「窯業・土石」が注目されている。
 好調な企業で設備投資が広がれば、一般機械を中心とした生産関連物資の増加が見込まれる。公共工事が動き出せば窯業・土石の生産や出荷が活発になる——との期待が膨らむ。
 冷夏とも言われていた今年の夏は平年並みの暑さとなる見込みで、こうした天候も荷動きには追い風となる。
 運賃動向の7-9月見通しでは、すべての輸送機関で引き続きプラスとなる見通しだ。運賃・料金の上昇に一服感が広がっているとの指摘もあるが、下期に向かって荷動きが回復することが予想されており、トラックドライバー不足が再燃し、運賃が再び上昇する可能性があるという。
 大手物流企業の4-6月期決算発表が始まった。国内物流では一部の企業を除き、荷動き鈍化で物量が減少し、売上高は伸び悩んでいる。ただ、利益は増益に転じているケースが多い。燃料価格の下落で燃油費が減少しただけでなく、適正運賃収受が増益に大きく寄与している。
 日本通運の4-6月期決算は、国内複合事業の売上高は前年同期比0.2%減の微減にとどまったが、営業利益は58.2%増と6割近い増益となった。同社は昨年9月、トラック貸切届出運賃を実質約15%引き上げ、国土交通省に届け出た。同年11月にはトラック積合せ運賃・料金も改定した。その後個別の運賃交渉が進展し、運賃単価が上昇しているという。
 不足するドライバーを確保するためには、給与や労働時間などの労働条件見直しが不可避だ。その原資を確保するため、荷動きの回復過程を捉えて、適正運賃収受に取り組みたい。

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