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日本流通新聞8月10日付紙面から

社説:「陸運サミット」に注目

陸運業界の垣根を超えて、JR貨物、通運事業者、一般トラック事業者、特積みトラック事業者、関係団体など9社3団体が、オブザーバーとして国土交通省を交え、全国物流ネットワーク協会が提唱する「陸運サミット」の開催をめざした準備会合を都内で開いた。

全流協の瀬戸会長は、会議の発起人あいさつで「これを機会に新団体を作ろうとしているのではない」と述べ、「自由な議題、自由な協議」を標榜。また、現在メンバーとなっている大手9社に加え、一般トラック事業者も加えることを示唆し、「自由」なサミットであることを強調した。

一方で、JR貨物へ直言。陸運業界での空きスペースの無駄について例をあげて説明し、「JR貨物のコンテナを通運以外にも一般や特積みにも使えるようにしてほしい」と述べ、コンテナへのロールボックス活用策を具体的に示した。

同時に、「JR貨物の輸送障害発生時には一般、特積みが連携して協力する仕組みを作る」提案も行った。

陸運サミット開催は、全流協の積極的なリーダーシップによるところが大きい。

JR貨物への直言と同様、既に、「鉄道とトラックの連携によるオープンなネットワークの構築」などの施策を具体的に示し、JR貨物に対し「低積載路線の輸送余力のリソース提供」などを求めている。

陸運サミットは、日本の成長を陸運業界が担うためには、陸運業界が成長しなければならず、そのためには、これまでの枠組みを見直し、垣根を超えて共同戦略を議論する場が必要だ、として提唱されている。

瀬戸会長は、陸運業界が成長するためには、生産性を向上させることが不可欠とし、そのためには、業界の4つの無駄を解消することが必要だと提言。その例として、JR貨物の空きスペースを指摘した。

瀬戸会長は、(1)通運は小口と地場が不得意(2)一般も小口は不得意で全国業者になりづらい(3)特積みは人手不足で長距離ドライバーがいなくなる——とそれぞれの「弱み」に言及し、「連携することで、それぞれのその弱みを強みに変えていける」と共同戦略の効果を強調した。

また、陸運サミットでの中期的課題を含めた検討項目案には「荷主との協調により、手待ち時間の削減を図る」などトラック実運送の課題にも触れており、興味深い。

陸運業界は、パラダイムシフトが必要な時期に来ている。全流協の積極的なリーダーシップによる陸運サミットの開催に注目してみたい。

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