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日本流通新聞8月24日付紙面から

社説:改善基準告示の順守に期待

 「改善基準告示」を著しく順守していなかったとして、愛知県のトラック運送事業者が30日間の事業停止処分となった。改善基準告示違反で事業停止となるのは、今年1月の北海道の案件に次いで2件目だ。
 改善基準告示は、バス、トラック、タクシーなどの自動車運転者の労働条件の向上を図るため、労働基準法では規制が難しい拘束時間や休息期間、運転時間などの基準を大臣告示として制定したものだ。
 1967年に厚生労働省の通達で労働時間等の改善が定められ、その後長時間労働や交通事故の増加、ILO条約の採択などを受け、1979年に拘束時間、休息期間などが定められた。その後、通達を大臣告示に格上げすることで労使が合意し、1989年に厚生労働大臣告示とされた。
 告示であるため、違反に対する罰則はなく、違反率はトラック運送業の場合で65.6%(2013年)と高い。一方、国土交通省も過労運転防止のための基準として厚労省告示をそのまま国交省告示として定めたほか、少なくとも1990年の物流二法施行時には違反事業者を行政処分の対象としている。さらに、関越道高速ツアーバス事故を受けた2013年10月の行政処分厳罰化により、運転者の運転時間の基準が著しく順守されていない場合は、直ちに30日間の事業停止処分を課すことになった。
 こうした中で、国交省は9月1日から、トラック運送事業の改善基準告示違反に関して労働局からの通報を受けた場合、監査を行う前に適正化事業実施機関による改善指導を行い、早期に違反状態を改善する仕組みを導入することにした(8月10日付本紙既報)。
 運送事業者にとっては、運輸支局の監査の前に適正化指導員の指導の下で改善に取り組む機会が与えられることになる。
 また、厚労、国交両省は同じく9月1日から、フェリー乗船中の改善基準告示の扱いを改める。これまで、乗船中であってもそのうち2時間は拘束時間として取り扱ってきたが、最近ではトラック運転者が乗船後に作業を行うケースが少なくなってきているなど、作業実態と制度に乖離が生じていたため、トラック運転者のフェリー乗船時間を原則として休息期間として取り扱うことにしたものだ。
 長距離輸送でフェリーを利用する運送事業者にとっては、運転者の拘束時間を短縮することが可能となるため、改善基準告示をより守りやすくなる。
 これらの、実態を踏まえた制度改正を受け、告示の順守に向けた取り組みが進むことを期待したい。

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