日本流通新聞9月7日付紙面から社説:料金割引で高速道路へ誘導をエネルギー対策特別会計を活用した、トラック運送事業向けの補助金予算が増額される見通しとなった。 来年度予算概算要求で、国土交通省が明らかにしたもので、来年度の予算要求額は、今年度予算比約20億円の増、率にして33.3%増の80億円となった。 同特別会計に税収が繰り入れられる地球温暖化対策税(石油石炭税の課税特例)が2012年10月から適用されたことに伴い、運輸部門では、海運、鉄道、航空事業者が使用する軽油や重油、航空機燃料については税金が還付される仕組みが設けられたが、トラック事業で使用する軽油については還付が困難なため、その代替措置として、業界の納税額見合い分年間約60億円を補助金として歳出することになったものだ。 地球温暖化対策税は、2012年10月の適用以降、2段階で税率を引き上げることになっており、最初の引き上げである2014年度に補助金が設けられ、2度目の引き上げである2016年度には補助金額を増やすことになった。 来年度からの税率の引き上げ幅は1リットル当たり26銭と少額だが、業界の負担額は70億円から110億円へと増えるため、全日本トラック協会では上乗せ分に見合った補助の増額を要望していた。 予算が確定するのは、年末の政府案決定の際だが、特別会計でもあり、おおむねこの額で決着するものと見込まれている。 一方、日貨協連が、高速道路料金の大口・多頻度割引最大50%割引の恒久化を国土交通省に要望した。全ト協もすでに同様の要望を自民党トラック輸送振興議員連盟に行っている。 毎年の補正予算で約500億円の予算が措置されてきたもので、金額も大きく、トラック業界にとってはなくてはならない制度、政策である。ただ、補正予算による単年度ごとの措置のため、制度の不安定さは否めない。 トラック業界にとって、最大の政策要望であるが、国交省道路局の来年度予算概算要求には盛り込まれず、「効果を確認し、ETC2.0の活用も含め、措置の必要性について検討する」とされた。 最大50%割引は、深夜割引などの時間帯割引が縮小された分を補うために不可欠の措置であり、この措置がなければ多くのトラック運送事業者の高速道路料金負担が大幅に増えることになる。一般道の安全性を確保するためにも、トラックは高速道路に誘導すべきであり、料金によりその政策目的を果たすことが合理的である。
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