日本流通新聞11月9日付紙面から社説:ドライバー不足と業界再編物流企業の2015年4-9月期決算発表が相次いでいる。 上場各社の上半期決算をみると、増収増益が目立つ。売上高はほぼ想定内だが、利益は上振れ傾向で大幅な増益を果たす企業もある。 要因をみると、収益性向上や効率化への取り組みが奏功した企業もあるが、燃料価格の下落、運賃料金の改定、M&A効果などが共通している。 4-9月期の荷動きは、活発だったとはいえない。日通総研の調査によると、荷主企業の国内向け出荷量の荷動き指数は依然マイナスのままだ。10-12月にマイナス2と水面すれすれまで戻す見通しだという。 上期に大幅な増益となった上場企業も、下期は慎重な見方が多く、上方修正は一部で、通期予想を据え置く企業が多い。 背景には、燃料価格の下落に合わせて、運賃料金の改定に一服感が出ていることに加え、ドライバー不足や車両不足が依然として厳しいことなどがある。 一方、中小企業は苦戦している。 全国中小企業団体中央会(全国中央会)の9月調査によると、運輸業の景況、売上高DIは2カ月連続で悪化し、収益状況DIは小幅ながら3カ月ぶりに改善した。 売上高と景況の悪化では、ドライバー不足などコストアップにもかかわらず運賃が据え置かれていることなどを理由に挙げている。収益状況の改善は、燃料費の値下がりによるものだ。 貨物輸送量の減少など、荷動きの低調さを指摘する事業者は少なくない。また、ドライバー不足、人件費負担増などの雇用環境で、先行きは予断を許さない状況にある。 大手、中小を問わず、ドライバー不足と車両不足は大きな課題だ。 大手企業の中には、傭車から自社車両に切り替えている企業もある。センコーでは、現在の自社車両4000台を2倍の8000台とする計画だが、現状ではドライバーの確保が困難な状況だ。そのため、同業中堅企業のM&Aで車両を増やす方法へと方針を変えた。 倉庫業の三井倉庫ホールディングスは、1000台強のトラックを保有する中堅企業の丸協グループを総額100億円で買収する。 三井倉庫ホールディングスは保管、3PL事業を強みとしているが、トラック実運送会社を取り込み、トラックドライバー不足に対応するとともに、グループの足回りを強化する。 ドライバー不足は、トラック運送業界の再編に向けた新たな動きを引き起こしつつある。
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