日本流通新聞11月23日付紙面から社説:労働力不足、「連携」で対応をトラックドライバー不足を背景に、鉄道貨物輸送への期待が高まっている。 最近では、複数荷主が協力して帰り荷確保や混載をすることにより輸送効率を高める、次世代型モーダルシフトが注目されている。 JR貨物とイオンの物流を担うイオングローバルSCMが幹事を務める「イオン鉄道輸送研究会」による専用列車の運行が知られている。 専用列車は、昨年12月に1往復、今年4月にも1往復運行され、話題になった。 昨年12月の「イオン列車」は、同研究会に参加する各業界の企業のうち、ネスレ日本、アサヒビール、花王、江崎グリコの異業種4社が参加して、14日に東京発大阪行き、21日に大阪発東京行きの1往復を運行した。 年末のトラック不足を踏まえ、鉄道輸送にシフトすることで安定輸送を実現することが目的だ。また、いずれも日曜日の列車運行を活用したもので、JR貨物にとってもモーダルシフトの推進に寄与するものだ。 今年4月の専用列車は、4社のほか、味の素、サッポロビール、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパンの3社が加わり、計8社での共同運行となった。 トラック不足とゴールデンウィーク前の旺盛な需要に対応するため、昨年12月と同様に東京〜大阪間で運行したもので、4月も12日と19日の日曜日の列車を活用した。 このほかにも、区域トラック事業者向けに、コンテナに満たないロールボックスパレット単位の小口混載サービスを進めようという動きもあり、今秋から北海道などで実験が始まっているという。 労働力不足時代の物流効率化に必要となるのは「連携」だと、国土交通省の羽尾物流審議官は強調している。 物流事業者同士の連携、物流事業者と荷主との連携、荷主企業同士の連携、過疎地など地域との連携、インフラとの連携もあり得る。 鉄道貨物輸送では、通運事業者と鉄道事業者の連携や通運事業者同士の連携も今後重要になろう。イオン列車などは荷主企業同士の連携の好事例だ。トラック事業者と荷主との連携では、発荷主だけでなく、着荷主とも連携した手待ち時間の削減などが求められる。 道路上に設置されたITSスポットと通信するETC2.0の活用は、インフラとの連携であろう。 個々の取り組みが、連携することでより一層効果をあげることもある。同業種、異業種を含めた連携により労働力不足時代に対応したい。
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