日本流通新聞12月7日付紙面から社説:低温食品を支える物流品質定温(5〜18度)、冷蔵(10〜マイナス18度)、冷凍(マイナス18度以下)の各温度帯を対象とする低温食品物流の市場規模が拡大傾向で推移している。 市場調査会社の矢野経済研究所によると、2014年度の低温食品物流市場は前年度を3.8%上回る1兆3600億円に拡大した。国内での貨物輸送需要は、長期的には人口減少の進展により頭打ち傾向が想定されているが、当面、低温食品物流は拡大傾向にある。 その要因として、同研究所では国内外での低温食品に対する取扱と需要拡大が市場規模を押し上げる一因となっている、と指摘する。低温食品の取扱と需要拡大に、低温物流で世界最高レベルの品質・管理水準の日本の物流事業者が貢献している。 国内では、食品の主要流通チャネルである総合スーパー(GMS)や食品スーパー、コンビニエンスストア(CVS)などで低温食品の取扱規模が拡大している。 また、低温物流の高度化に伴い給食・病院食・宅配食など付加価値の高い低温食品に対する需要が高まっていること、そしてドライバー不足に伴うコスト上昇による運賃・料金の見直しなども物流市場を押し上げる要因にあげている。 さらに、経済成長が続く東アジアや東南アジアなど、アジア圏を中心とした海外での低温食品に対する需要の高まりである。東アジアや東南アジア諸国では、経済成長に伴って生活水準が高まるなか、コンビニエンスストア、総合スーパーなどの流通事業者や外食産業の進出が活発になっている。 これらエリアに進出する国内外の流通事業者からは、冷凍・冷蔵食品をはじめ、厳密な温度管理が必要とされる商品の物流需要が拡大している。こうしたなか、低温食品物流に長けた日系物流事業者への注目が高まっている。 日系事業者が高い注目を集める要因は、物流3品質(「誤配・遅配・破損」の低減)を重視した高水準の物流サービス、断熱性能や保護性能の高い梱包資材の利用、配送先でのドライバーの納品態度、商品ごとの特性に対する取扱いノウハウ、共同配送をはじめとする高効率な輸配送の仕組みづくりなどだ。 アジアに進出する日系流通・外食産業事業者のみならず、現地や欧米の事業者からも低温物流業務を受託するケースが多く見られる。 日系物流事業者に対する「世界最高レベルの水準」と、高い注目を集めている物流の品質管理は、荷主はじめ社会から等身大に評価されなければならない。
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