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日本流通新聞12月21日付紙面から

社説:トラックは高速道路の利用を

2015年度補正予算案が閣議決定された。

一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策のほか、総合的なTPP関連政策、災害復旧・防災減災事業への対応などが柱だが、喫緊の課題への対応として、物流コスト安定化等のための高速道路料金割引の臨時措置に256億円が計上された。

物流コストの安定化や物流の円滑化のため、大口・多頻度割引の最大割引率を40%から50%に拡充する措置を来年度1年間延長するための予算で、拡充措置の対象をETC2.0利用者に限定することで、国費を前年度の半額程度に抑えた。

ただ、肝心のトラック向けETC2.0車載器は1社しか販売しておらず、車載器の付け替えにも一定の時間が必要だ。

このため、NEXCO3社が、旧型ETCの利用者であっても、4月からの半年間は最大割引率50%を受けられるよう、計200億円弱を負担して、経過措置を実施する。国費とNEXCO負担をあわせて450億円弱が措置されることになる。

また、経過措置が終了する来年9月末までに、車載器の付け替えを促すため、NEXCO各社と全日本トラック協会が車載器購入助成を行う予定だ。

補正予算による単年度分の措置となり、制度としての不安定さは否めないが、とりあえず来年度1年間は50%への拡充措置が続けられることが決まった。

国土交通省としても「物流を支援する重要な施策」(石井啓一国交相)と判断したもので、業界の要望が実現したかたちだ。

もとより、交通強者であるトラックが高速道路を利用しやすいようにすることは、一般道の安全確保、事故防止、さらには騒音対策などの観点から意義あることだ。料金に敏感なトラックは、負担が増すことになれば、一般道利用に転換する可能性が高い。このため、料金施策により高速道路に誘導する必要がある。

トラック輸送にとって、高速道路の利用は、輸送時間の短縮や定時性の確保など荷主にとってもメリットのあることだ。さらに、これは業界側の事情でもあるが、ドライバーの長時間労働を改善するためにも、高速道路の利用は欠かせない。

トラック運送業の長時間労働改善・生産性向上は、国をあげて取り組んでいる重要政策であり、高速道路の利用は、こうした重要政策の推進にも寄与するものだ。

業界としても、国や高速道路会社の後押しを受け止め、安全運行に努めたい。

 

 

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