日本流通新聞1月18日付紙面から社説:労働環境の改善が急務だ長時間労働が指摘されているトラック運送業界で、3社に2社が改善基準告示に違反しており、しかも悪化していることがわかった。 厚生労働省がまとめた2014年の自動車運転者を使用する事業場に対する監督指導状況によると、トラック2765事業場のうち改善基準告示違反数は1845事業場で、違反率は66.7%だ。 他業種と比べ、バスは56.1%、ハイヤー・タクシーが41.0%で、トラックの違反率の高さが目立つ。 トラックで違反が最も多かったのは「最大拘束時間」だ。監督を行った事業場の54.9%で違反が認められた。次いで「総拘束時間」の43.3%、「休息時間」の42.7%、「連続運転時間」34.5%の順だ。 送検事例によると、全従業員の9割に当たる約70人に対し1カ月100時間を超える時間外労働を行わせていた事業場は、平均150時間、最長では220時間を超える時間外労働が認められた。 当然であるが、1カ月の時間外労働が36協定の限度時間である120時間を超える重大な法違反であるとして、法人と事業主が送検された。 それだけトラック運送事業を取り巻く労働環境が厳しくなっているとすれば、その改善が急務だ。 昨年12月25日、国土交通省の社会資本整備審議会と交通政策審議会は、労働力不足などの危機を克服し、物流生産性革命の実現をめざした答申をまとめた。 今後の物流政策の基本方向について、物流分野の労働力不足は危機的な状況に直面していると指摘し、このことが経済の成長や国民生活を向上していくうえで障害になる、と警鐘を鳴らしている。 そして、事業者、行政のほか、荷主や消費者などが危機感を共有し、解決に向けて協力し合うことが急務だと訴えた。人材確保に向けては就労環境の改善や業界イメージの改善などを求めた。 トラック運送業界でも、若年層の労働力を確保するために「魅力ある事業」「働きたい職場」に向けた取り組み機運が高まっている。また、トラック運送事業の取引環境と長時間労働の改善に向け、厚労省と国土交通省が連携した時短協議会の成果も期待されている。 人材確保には「魅力あるトラック運送業」にしなければならない。そのためには、一服感が出ている運賃・料金適正収受の取り組みを強めなければならない。 長時間労働など労働条件・労働環境の改善には、その原資となる運賃の適正収受が必要であることは論を待たない。
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