日本流通新聞1月25日付紙面から社説:多様な「連携」がキーワードに政府が今週にも国会に提出する物流総合効率化法(物効法)改正案の全容が明らかになった。 物流の労働力不足が深刻化するなか、物流事業者と荷主、物流事業者と地方自治体、物流事業者同士など2者以上の連携を前提に、様々な物流効率化への取り組みを支援する枠組みを創設するもので、施行から10年余を経ての初めての大改正だ。 従来の物効法は、大規模で高機能な倉庫を整備する際に、税制で支援する、いわば「施設整備法」だった。改正案では、物流分野の今日的課題である労働力不足に対応するため、2者以上が連携して行うものに限定し、多様な取り組みを支援対象に加える。いわば「物流効率化施策推進法」へと大きく姿を変えることになる。 事業者が総合効率化計画を策定し、主務大臣が認定する仕組みで、認定対象となる事業として、(1)モーダルシフト推進事業(2)地域内配送共同化事業(3)輸送網集約事業——の3事業を例示している。 鉄道事業者と荷主、海運事業者と荷主、地方自治体と宅配事業者、倉庫事業者とトラック事業者など、2者以上が連携して行うこれらの事業に対し、予算、税制、立地規制に関する配慮、中小企業への支援、事業開始時の手続き簡素化などで取り組みを支援する。 交通政策審議会物流部会などが昨年末まとめた今後の物流政策の方向性についての答申でも、人口減少・少子高齢化・労働力不足に対応するため、物流生産性革命の実現と未来へ続く魅力的な物流への進化を施策として掲げ、実現に向けた施策の進め方として、新たな連携の構築、先進的技術の活用をあげた。 答申では、基本的には、市場原理に基づく企業間の競争がベースとなるが、同時に、国や自治体、物流事業者等の多様な関係者間で新たな連携を構築し、物流システムのさらなる効率化、最適化を進めるべきだとし、そのための制度的枠組みの整備が必要だと指摘している。 日本郵便は20日、ゆうパックの配達を、佐川急便の親会社であるSGホールディングスとローソンが共同出資して設立した「SGローソン」に試行的に委託すると発表した。労働力不足に備え、「競合」から「協調」へと踏み出した格好だ。 また、日本通運は昨年末、労働力不足の深刻化など外部環境の変化に対応するため、名鉄運輸と資本業務提携を結び、名鉄運輸の株式20%を取得すると発表した。 労働力不足時代に物流を維持、効率化させるには、多様な「連携」がキーワードになりそうだ。
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