日本流通新聞2月8日付紙面から社説:安全確保へ適正利潤を燃料価格が下がっている。資源エネルギー庁が発表した1日時点のスタンド現金価格(消費税込み)は、軽油が1㍑当たり98.7円となり、14週連続で値下がりするとともに、6年10ヵ月ぶりに100円を切った。石油情報センターによれば、2005年4月25日に98.1円を付けて以来、10年10ヵ月ぶりの安値水準だという。 中小トラック運送事業者が調達する、協同組合による共同購入価格も下落している。東京都トラック運送事業協同組合連合会と神奈川県貨物自動車事業協同組合連合会の1月納入価格は、販売店側との交渉の結果、前月比7.0円値下げで決着した。消費税抜きのカード価格は、東ト協連が1㍑77.1円、神貨協連が77.2円となった模様で、80円を切るのは7年ぶりだ。日本貨物運送協同組合連合会の販売店との1月分交渉も7.0〜7.1円の値下げで、いずれも70円台となったようだ。 燃料価格の低下は、原油価格が下落しているためだが、足元の原油相場は、サウジアラビアやロシアなど主要産油国が協調減産に踏み切るのではとの観測もあり、バレル30ドルを挟んで乱高下している。 米国が40年ぶりに原油の輸出を再開し、原油に先安感が生まれた。国内の元売り各社も輸入に踏み切るとみられる。地政学的リスクが高い中東依存からの脱却という意味では評価されるが、まだ石油製品の市場価格へのインパクトは限定的だ。 国内の石油製品価格については、現時点では高騰する要素は少ないが、元売り各社の業績は悪化しており、先行きは不透明だ。 燃料価格の低下は、トラック運送事業にとって増益に作用する。日本通運の4-12月決算は、営業利益が1割増益の385億円となったが、このうち燃油費値下がり分が49億円、利益に寄与している。 一方で、荷主から運賃引き下げの要請があったとの声も聞こえ始めた。ただ、運送事業は公道を使用して事業を営んでいる以上、余裕を持ったかたちで安全対策への投資ができる経営状態である必要がある。 前号の小欄でも触れたが、法定運賃の下限割れ運賃で請け負っていたバス会社が事故を起こしたことは、十分な利潤を得ていない運送事業には、何らかのリスクがありうるということを世の中に暗に示した。言い換えれば、輸送の安全の確保にはコストがかかるということだ。そのためには、適正な運賃を収受して、適正な利潤を得る必要がある。 しっかりと理論武装、原価計算を行い、荷主の値下げ要請に対応したい。
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