日本流通新聞3月14日付紙面から社説:健康起因事故と議員立法超党派の議員連盟である、運転従事者脳MRI健診推進議員連盟が、自動車運送事業の健康起因事故を防止するための法案を議員立法により今国会に提出する方針であることが明らかになった。 道路運送法とトラック事業法を改正し、運送事業者に対し、「運転者が疾病により安全な運転ができないおそれがある状態で事業用自動車を運転することを防止するために必要な措置を講じなければならない」との一文を加えるものだ。 この動きを受けて、自民党のトラック、バス、タクシーの各議員連盟は10日、全日本トラック事業政治連盟、日本バス協会、全国ハイヤー・タクシー連合会から意見を聞いた。 3団体の要望は3点だ。1点目は、医学的知見を踏まえた調査研究だ。厚生労働省も含めた調査研究を行い、必要なスクリーニング項目の検証および脳MRI診断、心臓ドック、人間ドックのガイドラインを作成するよう求めた。 国土交通省では、脳MRI健診、睡眠時無呼吸症候群(SAS)検査、心臓ドック、人間ドックを推奨しているが、ガイドラインが定められているのは、SASだけだ。 要望の2点目は、動脈瘤などの疾患が発見された場合、運転者を雇用する事業主として取るべき対応のガイドラインをまとめて欲しいというものだ。 健康診断に関する就業上の措置は、労働安全衛生法で定められており、事業者は、医師からの意見等を勘案し、運転者について、乗務の継続、または業務転換、乗務時間の短縮、夜間乗務の回数削減といった業務上の措置を決定する必要がある。 業界要望の3点目は、健診費用の補助・助成制度の創設だ。3業種ともに中小企業が大多数を占めるため、負担の軽減を求めたものだ。その一例として、脳MRI診断、心臓ドック診断等を二次健康診断の検査項目に加えることを提案した。 定期健康診断の結果、血圧・血中脂質・血糖・肥満度に関するすべての項目で異常が認められた場合、労働者は無料で二次健康診断を受診できる。費用は労災保険から給付される仕組みだ。 自民3議連の会議では、トラック議連の木村幹事長から「なぜ自動車運転者だけなのか、なぜ脳だけなのか。最初からMRIというのも理解できない」との疑念が示され、バス議連の盛山事務局長は記者団に「法案が通ったとしても、どのように実効性をあげるのか、いろいろと課題が大きい」と説明した。 その課題を解決していけるのか、今後の進捗に注目したい。
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