日本流通新聞3月21日付紙面から社説:安全へ気を引き締めたいトラック運送事業者が行うべき運転者教育が強化される。 とくに、初任運転者に対し、従来座学のみ6時間以上の教育指導を求めていたものを、座学について15時間以上の指導を求めるほか、新たに実車を用いた運転指導を20時間以上行うよう求める。 車両総重量3.5t以上7.5t未満の自動車を運転可能な準中型免許を創設し、18歳以上であれば運転経験を問わずに受験可能とする道交法改正に伴い、警察庁の有識者委員会がトラック運転者への教育強化を求めていたことに対応したものだ。 国土交通省では、運転者指導・監督指針を定めた告示改正を行い、改正道交法の施行に合わせて、来春を目途に施行する予定だ。 一般的な指導・監督では、教育が徹底されていない内容について、指針への明文化を図るほか、指差し呼称と安全呼称、適性診断結果に基づく運転行動の特性自覚を新たに義務規定として定める。 一般的な指導監督については、1年間の教育計画を立て、毎年実施するよう求める。 運転者教育については、軽井沢スキーバス事故を受け、実技の義務づけがない貸切バスについても強化する方向だ。 この事故では、大型バスの運転経験が浅い運転者が事故を起こしたことが問題視された。初任運転者は、過去3年以内に別の貸切バス事業者の下で勤務していた者であれば、初任研修なしに大型バスに乗務させることができるが、これを改め、過去3年以内に他の事業者に選任されていた者でも、乗務させようとする車種区分(大型など)の運転経験が不十分な場合は、当該車種区分の自動車の実技訓練を行うよう文書で業界に求めた。今後告示改正を行い、義務化する予定だ。 2月にこれらのバス緊急対策を打ち出す過程で、告示改正に向けて動いていたトラックについても改正作業を一旦リセットし、さらに強化する動きもあったようだが、トラックの告示改正作業は最終段階にまで進んでいたこともあり、今回は原案通りの改正内容で決着した。 17日起きた広島県の山陽道トンネル火災事故は、事業用トラックが渋滞最後尾に追突したことがきっかけと伝えられており、国土交通省は18日、埼玉県川口市のトラック事業者に監査を行った。これを受けて、全日本トラック協会は同日、傘下事業者に対し星野会長名でFAXによる緊急通達を行い、同種事故の再発防止を呼びかけた。 春の全国交通安全運動を前に、気を引き締め直したい。
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